器用貧乏は赤魔道士になれ

極小ベンチャー企業のひとり管理部門担当者が、多岐に渡る日々の業務のことだったり全然関係ないことだったりを書くブログ

やっぱり絵が面白くなきゃね ~映画『バクマン。』

映像が面白い。

 

映画の冒頭から週刊少年ジャンプの歴史と出版界での、いや、ジャンプに触れたことのあるすべての人の記憶を辿るように、歴代のジャンプを飾ってきた様々な漫画の絵が画面を飛び交っていきます。

短い秒数の中ではあるけれども、1968年創刊からのジャンプの歴史をなぞっていくので、誰でも「ああ、あれ知ってる」という漫画を思い起こすことができるでしょう。

この冒頭で観客はぐっとバクマンの世界に引き込まれていくのです。

わたしなんて、あの作品もこの作品もジャンプだったんだなーと、ジャンプという漫画雑誌の偉大さを実感しました。

 

手塚賞に出す作品を描くシーンでは、彼らの背景が、彼らが今まさに描いている漫画の絵に置き換わります。ドンドン作品が描き上げられていく様が視覚的に分かりやすく、かつダイナミックに表現されていきます。

単に彼らが漫画を描いているのを見せるのは映像的に地味だから、こういう演出はすごくリズミカルで楽しい。

 

編集部の役割などの説明のシーンでは、映像に漫画のような吹き出しがポコポコついていきます。漫画が題材の映画なので、作品の雰囲気に合ってるし、とにかく編集室はすごくごちゃごちゃしているので、吹き出しで配置が説明されるととても分かりやすいです。

 

シュージンが連載を目指すための新しい漫画のネタを体育館で思いつくシーンでは、シュージンの眼鏡に思いついたネームがうっすらと映し出されています。

ただ思いついた演技だけでなく、絵に仕掛けを作ることによって、これまた分かりやすくなっている。しかも眼鏡に映し出される絵がシュージンの書いたネームなので、すごく絵が雑いです。こういうところが細かくて好き。

 

で、新マンガ「この世は金と智恵」を描くシーンでは、今まさに描いているコマがふわふわ浮いたり、スライドしたかと思えばプロジェクションマッピングで壁にするすると立ち上ったり、床を流れて行ったり。その間の机の上で描かれている絵が躍動的に動いたりしていて、創作意欲の高まりがちゃんと理解できる映像になっています。絵がとても躍動感のある音楽のようで、すごく巧い表現だな、と感心しました。

 

エイジとの人気投票での1位競争をあんなバトルシーンで表現するなんて狡いですよ。ベタだけど絶対面白いですもん。ちゃんと観ているこちら側の画面にも飛び散った墨がついてるんです。そうそう。墨だけじゃなく、スクリーントーンや擬音語も飛び交ってます。細かい。

こういう漫画ならではの表現にこだわったところも、漫画好きな視聴者からの好感を得られるきっかけになっていると思います。

 

あとエンドロールね。エンドロールで笑ったの初めてかもしれません。聖闘士美術、ヒカルの照明、珍記録、キャスティング翼、ハレンチ塗装。ツッコミがいくつあっても足りないです。漫画の背表紙でクレジットするなんて、とても粋です。 うん、ちゃんとデスノートもありましたね。

 

ストーリーは、まあ、友情・努力・勝利というジャンプの王道ですし、2時間という限られた時間での表現ですから、そこ端折っちゃうんだ、と思うところもありますし、その結果若干ご都合主義に感じられたりもするのですが、絵が面白いのでまあいいや、と思える範囲です。

 

やっぱり映像を観るのが楽しいという感覚は重要ですね。

バクマン。Blu-ray 通常版

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