器用貧乏は赤魔道士になれ

極小ベンチャー企業のひとり管理部門担当者が、多岐に渡る日々の業務のことだったり全然関係ないことだったりを書くブログ

消費税制度におけるインボイス方式とは?

こんにちはこんばんは、器用貧乏のケイリです。

 

今年の6月、政府は消費税率の10%への引上げを、当初の平成29年4月から、平成31年10月に2年半延期することを発表しました。

この消費税率引上げの際に、食料品等の税率を8%のままに据え置く「軽減税率」を適用するはずでしたが、それも延期となりました。

しかし、複数の税率が存在する状況に対応するためのインボイス方式の導入については、準備期間が十分にあるとして、平成33年4月から予定通り適用されることとなりました。

 

今日はこの「インボイス方式」について勉強したいと思います。

 

 

インボイスとは?

インボイス(invoice)」とは元々は貿易業務の用語で、納品書、送り状および請求書の役割のある、通関手続きに必要な重要書類のことをいいます。

売主から買主に発行される書類で、商品名、数量、価格、代金の支払方法、運賃、保険などの事項が記載されています。

しかし、ここでの消費税制における「インボイス」とは、適用税率や税額、課税事業者の登録番号など、税法に定められた事項が記載された書類のことを指しています。

 

 

消費税の納税額の計算方法

インボイス方式の説明に入る前に、まず必要な前提知識として、消費税の納税額はどのように計算するのかを簡単におさらいします。

 

企業が当期において税抜価額で1億円の売上を計上したとします。

現在の消費税率が8%なので、顧客から受け取った消費税(これをAとします)は1億円×8%=800万円です。

 

一方、企業が当期において税抜価額で6000万円の経費を計上したとします。

ちなみに、この6000万円の経費はすべて消費税の課税対象となる種類の経費と仮定します。(消費税の課税対象とならない種類の経費もありますので)

経費を負担した際に支払った消費税(これをBとします)は6000万円×8%=480万円です。

 

この企業が納税する消費税の額は、800万円(A)-480万円(B)=320万円です。

つまり、顧客から受け取った消費税から、企業自身が支払った消費税を控除した額が、その企業の消費税納税額となります。

実際はもっと複雑な計算や例外規定がありますが、税務担当者でなければ、一般知識としてこの程度が理解できていれば十分だと思います。

 

インボイス方式というのは、この企業自身が支払った消費税額(B)に関わるお話しなのです。

 

 

現在は「インボイス方式」ではなく「請求書等保存方式」

{A-B=消費税納税額}なので、Bが少なければ消費税納税額が多くなるのはお分かりいただけると思います。

そして税法では、Bとして取り扱っていい経費支払として、以下の事項を記載した帳簿および請求書等を保存しておかなければならない、という条件をクリアしている必要があります。(これを「請求書等保存方式」といいます)

1.仕入先の氏名または名称

2.仕入年月日

3.仕入れた物品もしくはサービスの内容

4.支払対価の額

5.請求書等の交付を受けた者の氏名または名称

 

つまり、請求書等保存方式に則った経費支払でなければBとは認められず、その分消費税納税額が増えるというわけです。

 

 

インボイス方式」とは?

インボイス方式は、正しくは「適格請求書等保存方式」といいます。

インボイス方式では、Bとして取り扱っていい経費支払として、請求書等保存方式で求められている上記1.~5.の記載事項に加えて、さらに次の事項を記載した請求書等を保存しておかなければならないこととされます。

6.軽減税率の対象品目であること

7.税率ごとに合計した対価の額

8.発行事業者の登録番号

9.消費税額

 

まあ、単純な話、記載事項が増えれば事務負担も増えますし、ITシステムへの投資なども余儀なくされます。

 

 

免税事業者の益税問題

ここで話の趣旨は変わりますが、このインボイス方式導入の際によく話に持ち上がるのが、免税事業者の益税に関する問題ですので、軽く説明しておきます。

免税事業者というのは、消費税の納税義務がない事業者のことで、年間売上高が小さい小規模事業者や、設立から間もない事業者など、ある一定の要件を満たす事業者がこれに該当します。

 

益税とは

免税事業者が商品を販売する際にはその販売価格に消費税分を上乗せしてはいけない、と思われている方をいるようですが、それは誤解です。

あくまでもA-Bで計算した消費税納税額を納める義務がないだけであって、顧客から消費税額を含めた売上額を受け取っていないわけではありません。

さらに言うなら、消費税が課されるかどうかは商品やサービスの内容等によって税法で定められているので、免税事業者かどうかは消費税の課税の有無には関係ないのです。

 

具体的な数字で説明すると。

顧客から受け取った消費税Aが60万円、経費を負担した際に支払った消費税Bが48万円だった場合、A-B=12万円が本来の消費税納税額です。

しかし、免税事業者にはこれを納める必要がなく、自分の懐に入れられるため、「益税」と表現されているのです。

 

益税問題の軽減

で、この益税問題とインボイス方式がどう関係するのかというと。

上記のインボイス方式の請求書等の記載事項に、「8.発行事業者の登録番号」があります。

インボイス方式が導入された場合、課税事業者でないとこの登録番号が付されないこととなりますので、免税事業者は請求書等に登録番号を記載することができません。

顧客側は免税事業者から商品を購入したとしても、それに対して発行される請求書等には発行事業体の登録番号が記載されていません。

そのため、経費を負担した際に支払った消費税Bとして取り扱うことができず、その分納税額が多くなってしまうのです。

 

だったら顧客側は免税事業者よりも課税事業者から商品を購入しますよね。結果的に免税事業者の業績が悪くなってしまう可能性があります。

それを避けるには、たとえ免税事業者となれる要件を満たしていたとしても、益税というメリットを捨てて課税事業者となって発行事業者の登録番号を得る必要があります。

このいうわけで、益税問題とインボイス方式は関連付けて議論されることが多いのです。

 

そもそも免税事業者制度は、初めて消費税が導入されたときの、小規模事業者への配慮的特例措置のようなものだと思いますので、それがいまだに残っているというのがおかしな話ではあるのですが。

 

 

インボイス方式の導入に関しては、本格導入までの経過措置など他にいくつか細かい論点はありますが、今回はこのへんで。