器用貧乏は赤魔道士になれ

極小ベンチャー企業のひとり管理部門担当者が、多岐に渡る日々の業務のことだったり全然関係ないことだったりを書くブログ

減価償却制度見直しの遍歴

こんにちはこんばんは、器用貧乏のケイリです。

3月末決算の企業は、株主総会に関する業務が目白押しとなる頃だと思います。

この時期になってようやく平成27年度のお仕事が完遂間近まで来られたことを実感します。ふう、やれやれ。

やっと具体的に今年度(平成28年度)のことに頭が完全に切り替えられつつあります。

 

前回のエントリーでは固定資産の売却・廃棄・除却について書きました。

jackofalltradesandmasterofnone.hatenablog.com

 

今回は、固定資産の初歩的な知識を整理するエントリーにしたいと思います。

 

平成28年度の税制改正において、建物附属設備や構築物において、減価償却制度の見直しがありました。

以下に平成28年税制改正の大綱のうち、減価償却制度の見直しについて記載された部分を抜粋します。

平成28年4月1日以後に取得をする建物附属設備及び構築物並びに鉱業用の建物の償却の方法について、定率法を廃止し、これらの資産の償却の方法を次のとおりとする(所得税についても同様とする。)。

 

建物附属設備及び構築物(鉱業用のこれらの資産を除く。)

 ・・・定額法

鉱業用減価償却資産(建物、建物附属設備及び構築物に限る。)

 ・・・定額法又は生産高比例法

 

これに限らず、平成19年度から減価償却制度の改正が何度か行われています。

そんなの最新のルールだけ知ってればいいじゃないか、と思われるかもしれません。

しかし、固定資産は長期間使用するものが多いため、過去に取得した固定資産において原初はどんな減価償却方法を採用したかを知っておく必要があります。

なので、今回はこのあたりの情報を整理したいと思います。

 

 

減価償却の基礎知識

減価償却とは、資産を購入した時にかかった金額全額をその購入年度の経費として記帳するのではなく、その資産が使用できる期間にわたって分割的に経費を計上し、またそれに応じて資産の帳簿上の価値を減ずることをいいます。

 

定額法

たとえば、2016年度の期首に100万円の機械を購入したとします。この機械の使用可能期間は5年です。

毎年度一定額を減価償却する「定額法」という方法を採用して減価償却した場合、100万円÷5年=20万円を、5年間にわたって毎年度経費計上します。

それに応じて、購入時に資産価値100万円として帳簿に記帳していた機械を、減価償却した額と同じく毎年度20万円ずつ減らしていきます。

 

上記の例の結果を年度別に表すと、以下のようになります。

2016年度期首(購入時) 機械100万円  経費ゼロ

2016年度期末      機械 80万円  経費20万円

2017年度期末      機械 60万円  経費20万円

2018年度期末      機械 40万円  経費20万円

2019年度期末      機械 20万円  経費20万円

2020年度期末      機械   0円  経費20万円

※5年間にわたって経費100万円を計上しています。

 

定率法

減価償却には他に「定率法」という代表的な方法があります。

前記の例題の「定額法」では機械の資産価値が毎年一定額で減っていきますが、実際のところ資産の種類によっては、最初の数年でガクンと資産価値が下がるものが多くあります。

定率法は使用可能期間の早いうちに多くの経費を計上し、資産価値を減額する方法です。

パソコンなんて性能の進歩が早いので、あまり年数経っていなくても中古屋の買取金額が大したことなかったりしますよね。

そういう資産には、定額法より定率法が実状に適しているといえます。

たとえば前記の例題で「定率法」を採用し、償却率が50%だった場合、機械の資産価額に50%をかけた額がその年度の経費となります。

 

2016年度期首(購入時) 機械 100万円  経費ゼロ

2016年度期末      機械  50万円  経費50万円(100万円×50%)

2017年度期末      機械  25万円  経費25万円(50万円×50%)

2018年度期末      機械12.5万円  経費12.5万円(25万円×50%)

(以下略)

 

減価償却の方法には他に「生産高比例法」「級数法」がありますが、ここでは割愛します。

 

 

減価償却制度の見直し 

で、本題です。(ちょっと忘れそうになってた)

平成19年度以降から行われた減価償却制度の見直しについて、どのような変更があったかをさらっとまとめてみました。

ここまでで結構疲れてきたので、駆け足でいきます。

 

平成19年度改正

1. 名称

平成19年3月31日以前の減価償却方法である「定額法」「定率法」は、「旧定額法」「旧定率法」という言い方に変わりました。

2. 使用可能期間における償却可能限度額

平成19年3月31日以前は、償却可能限度額が95%(上記の例だと、5年間で償却できるのは100万円×95%=95万円まで)でしたが、平成19年4月1日以後は、資産価値を1円残した額(100万円-1円=999,999円)まで償却できるようになりました。

3. 定率法の償却率

平成19年3月31日以前の償却率は、「償却率=1-耐用年数√残存価格/取得価格」

という難解な計算式で算定されていました。

しかし、平成19年4月1日以後は、「償却率=1÷耐用年数×2.5」という分かりやすい計算式になりました。これは「250%定率法」と呼ばれていました。

なぜなら、この計算式に含まれる(1÷耐用年数)という式は、定額法の償却率を計算する式であり、それを2.5倍するからです。

※ちなみに定額法の場合、固定資産の資産価値(帳簿価額)に償却率をかけるのではなく、購入額に償却率をかけて減価償却額を算定します。

 

 

平成23年12月改正

定率法の償却率の見直し

平成24年4月1日以後に取得する固定資産の減価償却に定率法を適用する場合、その償却率が、「250%定率法」から「200%定率法」に引き下げられました。

 

 

平成28年度改正

建物附属設備、構築物の減価償却方法

平成28年4月1日以後に取得する建物附属設備、構築物に適用される減価償却方法において、定率法が廃止されて定額法だけとなります。

ちなみに、建物や無形固定資産においても、償却方法は定額法オンリーです。

建物附属設備や構築物は法人税法上の使用可能年数が比較的長いため、定率法の償却率の改正などが行われると、異なった減価償却方法を行う資産が混在してしまいます。

ですので、このように減価償却方法を統一する動きが出てきたのかもしれません。

 

 

以上、駆け足で減価償却制度の見直しをおさらいしました。

 

実務で使う 法人税の減価償却と耐用年数表 (三訂版)

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