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器用貧乏は赤魔道士になれ

極小ベンチャー企業のひとり管理部門担当者が、多岐に渡る日々の業務のことだったり全然関係ないことだったりを書くブログ

別に知らなくてもいい「交際費」のお話

会計・経理 雑感

こんにちはこんばんは、器用貧乏のケイリです。

前回のエントリーでは、交際費について、経理以外の人にも知っておいたもらいたいことを書きました。

jackofalltradesandmasterofnone.hatenablog.com

 

そして前回のエントリーで

交際費は、会社の規模によってその一部が損金から除外される場合がある 

としました。

費用が損金として認められないことを「損金不算入」 といいますが、これを書いていて疑問に思ったのです。

 

そもそもなぜ交際費の損金不算入に関する規定があるのか?

 

ですので、少しその辺を調べてみました。

というわけで、今回は特に知らなくても別に困らない交際費についての雑感です。

 

当初は企業の資本蓄積が目的

交際費の損金不算入については、昭和29年の租税特別措置法の改正で定められました。

この制度の趣旨は

戦後資本蓄積の促進に資するため、各種の税法上の特別措置がとられたが、昭和29年、企業資本充実のため資産再評価の強制等が行われた機会に、いわゆる交際費の損金算入否認の制度が設けられた。この措置は、他の資本蓄積策と並んで、法人の交際費等の濫費を抑制し、経済の発展に資するねらいをもっている。」(昭和31年12月 臨時税制調査会答申)

とあります。

この租税特別措置法は企業の資本体制の強化が目的だったようで、つまりは「交際費」の名目で無駄遣いするなよ、しっかり内部にカネを貯めておいて強い企業づくりに励めよ、て感じでしょうか。

 

 

課税逃れの抑制?

個人事業主が取引先と外食するたびに領収書をもらって交際費として経費で落とす、なんて話を耳にしたことはありませんか?

実は個人事業主に関しては、交際費の損金不算入の規定はありません。

ですが、もし法人の場合も同じように全額損金算入できたらどうなるでしょうか。

交際費をたくさん計上して所得を減らし、法人税の納税額も減らそう。そういうインセンティブが働き、税収が減ってしまいます。

 

たとえば、利益が3億円見込める仕事があったとしましょう。

取引先の担当者に接待攻勢をかけ、総額1千万程飲み食いをさせたり贈り物をしてその仕事が獲得できたとしたら安いものです。

接待された側においてこれは一種の利益稼得みたいなものですが、当然ながら当人が自分で申告して所得税を払ったりするわけありません。

なおかつ、接待した側でもこの交際費が全額損金算入できたら、この法人の所得が減り、法人税の納税額も減ります。

 

また、法人の役員や社員が、接待と称して取引先の人と飲み食いをしまくったらどうでしょうか。

役員の報酬や社員の給与からは所得税が徴収されていますが、接待の飲食代として享受したものには当然所得税は課税されません。

そして交際費として全額損金算入できたとしたら、やはり法人税の納税額が減るのです。

 

もし交際費の課税制度がなければ。

利益が十分にあがっていてキャッシュの余裕があれば、決算前に取引先を招待してレッツパーリーしたくなりますよね。

 

 

頻繁に改正される租税特別措置法

租税特別措置法とは、各税法に対して特例を定めた規定で、実は毎年のように新設、改正、廃止がされています。

かくいう交際費についても、損金不算入の範囲についてはコロコロ変わっています。

 

現時点での交際費の損金不算入の範囲については、前回のエントリーで書いたとおり、

1. 資本金1億円以下の中小法人

以 下のa.b.のうちどちらかを選択できます。

a.交際費のうち、接待飲食費の50%までを損金算入(つまり「接待飲食費の50%+接待飲食費以外の交際費」が損金とみなされなくなります。)

b.交際費のうち、年間800万円までを損金算入(つまり「接待飲食費+接待飲食費以外の交際費」<800万円であれば、全額損金とみなされます。)

 

2.資本金1億円超の法人

交際費のうち、接待飲食費の50%までを損金算入(1.a.と同様です。)

となりますが、これは平成26年4月1日以降に開始した事業年度に適用される規定です。

 

なお、平成25年4月1日から平成26年3月31日の間に開始した事業年度においては、「交際費のうち、接待飲食費の50%までを損金算入」という規定はありませんでした。

つまり、資本金1億円以下の中小法人だけが「交際費のうち、年間800万円までを損金算入」することを認められていたわけで、資本金1億円超の法人については、この期間に計上される交際費についてはその全額が損金不算入だったのです。

 

ちなみに平成25年4月1日以前の中小法人の交際費課税の特例は、600万円までの交際費のうち10%を損金不算入とする、というものでした。

 

このように、交際費の課税制度について、近年は損金として認める方向に頻繁に改正されています。

景気刺激のため、社内にお金を貯め込まれるより、バンバン使ってもらおうという政府の意図があるのでしょう。

 

実例問答式 交際費の税務―交際費と隣接経費の判定を中心として〈平成28年版〉

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