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器用貧乏は赤魔道士になれ

極小ベンチャー企業のひとり管理部門担当者が、多岐に渡る日々の業務のことだったり全然関係ないことだったりを書くブログ

研究開発活動を促進する「技術研究組合」って何だ?

こんにちはこんばんは、器用貧乏のケイリです。

 

私が今勤めている会社は、もともとは複数の企業とアカデミアが、とある共同研究を行うために設立されたものです。

設立当初の資金源はそれぞれの企業からの委託研究費用だったり、いくつかの省庁やその外郭団体から支給された補助金でした。

当時は猫も杓子も産学連携による大学ベンチャーを発足しまくりの時代でして、当社もその時流に乗って立ち上げられました。

 

研究成果の事業化にはだいたい基礎研究→応用研究・製品開発→事業開発というようなステップを踏むことと思います。

基礎研究はおもに大学や研究機関などで行われます。

そしてその基礎研究で得た知見を元に応用研究や製品開発の段階に入っていくわけですが、当社はこのステップで設立され、前述したように、複数の企業から委託研究という形で請負代金をいただいたり、補助事業に採択されて補助金をいただいたりしていました。

 

しかし、委託研究の契約期間はいつか終了しますし、補助事業に関しても当然補助される期間が決まっています。

では、その期間が終わってもまだ売れそうなモノが出来上がってなかったら、どうすればいいのでしょう。

といいますか、当社が実際そういう状況に陥りました。

将来出来上がるであろうその技術なり知見なりを乗せるプラットフォームとなる事業を新規になんとか立ち上げましたが、まだまだ時代のニーズの先を行ったサービスだったため、玄人受けはしても大きく商売が拡がることはありませんでした。

よって過去ブログに散々書いた通り、結局は資金難に苦しむことになったのです。

 

この時期の反省点として挙げられることのひとつは、そもそも会社の設立のタイミングが早すぎたことにあります。

すくなくとも応用研究の期間はアカデミア内に寄付講座でも設けて、製品開発への道筋がある程度見えたところで会社を立ち上げるべきだったと思います。

会計の世界では企業をゴーイングコンサーン(企業が永続的に運営を継続するという仮定)な存在として取り扱いますが、一度会社を作ってしまうと、存続させ続けなければいけないと思い込んでしまいがちです。

本当は一旦会社を清算・撤退すべきときにも心理的抵抗感が生まれて、だらだらと損失を積み上げて最終的には二進も三進もいかなくなります。

こうなるともう詰みです。ジ・エンド。誰にとってもいいことありません。

 

突然ですが、技術研究組合ってご存知ですか?

以下の経産省のウェブサイトに詳しい説明があります。

技術研究組合とは

技術研究組合を簡単に説明すると、企業や大学、公的研究機関などが組合員となって産業技術に関する試験研究を行う、法人格のある組合のことです。

組合を運営するための賦課金は基本的には企業が拠出します。出資制ではないため費用計上ができます。

ちなみにこの組合は補助金も受けられます。

複数の事業体が共同で安定的に長期の研究開発をするのに向いているとされています。

当社の場合はおよそ5~7年くらい研究開発にかけており、10社くらいの企業や補助事業から得た資金もそれなりに大きかったので、設立当時の当社の状況に似ています。

 

有限責任事業組合(LLP)は株式会社化できませんが、技術研究組合は株式会社化できますので、事業化できそうな研究成果が出れば、組織変更することも可能です。

それだけでなく、一部の研究成果だけを切り離して、分社化的にその部分だけで会社を設立することもできます。

そして会社の設立時には累積した欠損金もない状態です。

つまり、研究開発が終了した段階で、じゃあこの先どうするの? 会社作っちゃう? それとも解散しちゃう? と考えられるターニングポイントができるわけです。

実際に大学発ベンチャーの内部にいると、こういう点はすごく重要に感じます。事業に区切りをつけるって本当に難しいんですよ。

 

じゃあ、なぜうちは技術研究組合にしなかったんだろう、と思ったら、この制度がこういう形になったのは平成21年の法改正からで、それまでは鉱工業に限られた制度だったようです。

以下は現在ある技術研究組合の一覧のリンクですが、やはり2009年以降に設立した組合がほとんどですね。

技術研究組合運営懇談会 技術研究組合一覧

もう10年くらい法改正が早ければ当社の未来も違っていたでしょうか。

しかし、2013年以降の設立数が減っているので(震災のせい?)、これはこれで大学発ベンチャー乱立時代のように、ただの時流に乗った組合設立の増加だったのかもしれませんが。

どちらにせよ、研究開発という活動は時代の流れに翻弄されるものです。