器用貧乏は赤魔道士になれ

極小ベンチャー企業のひとり管理部門担当者が、多岐に渡る日々の業務のことだったり全然関係ないことだったりを書くブログ

ベンチャー企業には資金調達源として重要な株式発行

こんにちは、器用貧乏のケイリです。

今日は株式の発行についておさらいしたいと思います。

 

ベンチャー企業にとって、株式の発行は大事な資金調達源です。

しかし、持分比率などを見誤って株式を発行したりすると、後々の資本政策や企業運営に響いてくるので、大変重要な局面でもあります。

アーリーステージでわが社は、資本金をたくさん集めれば集めるほど良いと考え、VC以外にもいろんなエンジェルや企業に話を持ちかけ、その結果小規模の企業にしては株主が多めです。

一時期は肝心なところで意思決定が割れたりしていたので、マジ面倒くさかったです。

 

 

株式の割当の方法

発行する株式を誰に割り当てる(誰が引き受ける)のか。

これには3つの方法があります。

 

1.株主割当

すでに当社の株を持っている株主全員に対して、その持株数に応じて株主の割当をする方法です。

たとえば、株主はA、B、Cの3人で、それぞれ500株、300株、200株持っていたとします。

株主割当で100株発行する場合、Aに50株、Bに30株、Cに20株割り当てられます。

ちなみに、企業が自社株を持っていた場合、その自社株はこの株主割当の対象にはなりません。

 

2.公募

不特定多数の人から株式の引受人を募る方法です。

IPOの場合はこの方法ですよね。

”不特定多数”と言っても、実際は証券会社が株式のすべてを引き受けるのが一般的です。

 

3.第三者割当

特定の人に株式を割り当てる方法です。

非公開会社が株式を発行するときに多いのがこのパターンです。

 

 

新株発行の手続き

  • 募集事項の内容

新株を発行するときには、まず以下のような募集事項というものを決める必要があります。

 

1.募集する株式数

定款で定めた発行可能株式総数を超える株式数を募集することはできません。

発行可能株式総数を超える株式数を募集した場合は、株主総会を開いて定款を変更しなければなりません。

 

2.払込金額

1株当たりの金額を決めます。

 

3.払込期日(or期間)

払込の期限を決めますが、特定の日を定めてもいいですし、一定期間とすることもできます。

 

4.増加する資本金、資本準備金の額

払い込まれる金額の全額を「資本金」として扱わなければならないわけではありません。

払い込まれる金額の1/2を限度として「資本準備金」とすることも可能です。

資本準備金の方が資本金より処分する際の手続きが大仰でないため、フレキシブルに利用できるように資本準備金とする場合が多いです。

 

 

  • 募集事項の決定機関 ※非公開会社の場合

上記で挙げた募集事項を一体誰が決めるのかということについてですが、これは公開会社と非公開会社では扱いが異なります。

わが社は非公開会社ですので、非公開会社の場合に絞って書きます。

 

株主総会の特別決議

基本的には、株主割当、公募、第三者割当のいずれの方法であろうと、株主総会の特別決議が必要なります。

特別決議というのは、株主総会に出席した、もしくは委任状を提出した株主の持つ議決権数の合計のうち、2/3以上の賛成が必要な決議の事です。

つまり、どういう条件で株式を発行するかを最終的に決めるのは株主ということです。

ただし、これにはいくつかの例外があります。

 

例外その1.株主割当

株主割当の場合のみ、定款で定めておけば、取締役(取締役会設置会社の場合は取締役会)が募集事項を決めることができます。

株主総会の特別決議よりもユルユルですね。

なぜ株主割当だと権限が緩いのかというと、すべての株主が同じ条件で株式が割り当てられるため、ある株主は得をしてある株主は不利益を被る、というような偏りが生じないからです。

 

例外その2.株主総会で取締役に委任

わが社のようにベンチャー企業がアーリーステージで頻繁に出資を募るような場合、その度に株主総会を開いていたら手間も時間もかかります。まあ何より面倒です。

ですので、株主総会で募集株式数の上限と1株当たりの払込金額の下限を特別決議すれば、それ以外の募集事項については、特別決議から1年以内であれば取締役(取締役会設置会社の場合は取締役会)が決めることができます。

たとえば、定時株主総会は必ず年1回行うのですから、ここでこの特別決議も一緒に行ってしまえばいいわけです。

 

ちなみに、公開会社の場合、株主割当、公募、第三者割当のいずれであろうと、原則は取締役会に募集事項の決定の権限があります。

 

 

  •  募集事項の通知、募集株式の申込・割当

 

1.募集事項の通知

募集株式の申込予定者に募集事項や払込先などを通知します。

 

2.申込み

通知に応じて申込みをする者は、引き受ける株式数などを記載した書類を株式を発行する会社に提出します。

 

3.割当先の決定

申込みがあると、会社は誰に株式を割り当てるか(引受人)を決めなければなりません。

非公開会社の場合においては、割当先の決定には株主総会取締役会設置会社の場合は取締役会)の決議が必要です。

なお、とある申込者から100株の申込みがあったとしても、そのうち一部だけ(たとえば80株とか)を割り当てることもできます。

 

 

  • 払込

引受人は、払込期日までに、もしくは払込期間内に、定められた払込先(銀行等)に、払込金額の全額を払い込みます。

ちなみに、金銭以外の現物出資も可能です。(その場合は募集事項の決定の際にすでに定めておかなければいけませんが。)

ただ、出資する現物の財産価値の証明が必要だったりなど、いろいろ複雑なことが多いのでここでは書きません。

 

 

  • 登記申請

資本金の額と発行済株式数は法人登記の記載事項ですので、新株発行によって資本金と発行済株式数が増加すれば変更登記の手続きを取る必要があります。

必要な添付書類はケースバイケースなので、司法書士に依頼するか法務局に問い合わせましょう。

(大まかに言うと、募集事項を決定した際の株主総会や取締役会の議事録、引受けの申込みを証明する書類、払込みを証明する書類などです。)

 

 

※ここに書いた以外にも、有利発行や、種類株主総会新株予約権などの潜在株式との調整など、気を付けなければならない点があります。