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器用貧乏は赤魔道士になれ

極小ベンチャー企業のひとり管理部門担当者が、多岐に渡る日々の業務のことだったり全然関係ないことだったりを書くブログ

簿記の試験勉強と実務の違い

 簿記は検定試験の中でも人気のある部類に入ると思います。

 簿記の検定試験は会計基準に応じて出題されているので、記帳や財務諸表を作成する際の根本的なルールについては実務でも同じです。

 

 しかし、世間一般において、資格取得のために勉強する内容と実務は違うとよく言われています。

 転職市場においては「資格<実務経験」ということもよく耳にします。

 

 私が簿記を勉強し始めたのが20代半ばでした。

 職を得るために簿記を勉強する人も多いとは思いますが、私もそうでした。

 しかし、勉強していくうちに、簿記の勉強にはまった瞬間がありました。

 

 それは仕訳を記入する問題で、内容は「100億円で建物を取得し、代金を振り込みました。」というようなものだったと思います。

 これを仕訳にすると、

 建物 10,000,000,000 / 現金預金 10,000,000,000

 となります。

 私はこの仕訳を書いていたときにビビッときたのです。

 

 あなたは10,000,000,000なんて数字を書いたことはありますか?

 たとえ“100億円”と書いたことがあったとしても、10,000,000,000はそうそうないですよね。少なくとも私はありませんでした。

 この数字を書いた瞬間、「スゲェ・・・」って思っちゃったんです。

 夜中にクローゼットを開けたらそこには魔法の世界が広がっていた、というくらいの衝撃度でした。

 この分野には私が今まで見たことのなかったものが詰まっているような奇妙なワクワク感がしたのです。

 

 そんなふうにしてあれよあれよという間に1級まで取得したわけですが。

 実際に実務に携わるようになって、実務に比べて簿記検定の勉強って簡単だったよなぁと思うようになりました。

 

 では簿記の試験勉強に比べて、実務のどのあたりが難しく感じたのか。

 

(問題)

 A社はX1年4月1日(当期首)に器具及び備品2,000,000円を購入し、代金を振り込んだ。なお、器具及び備品の減価償却の方法は定額法、耐用年数は10年、残存価額はゼロである。

 

 これは簿記の勉強ではよく見る問題です。

 購入した際には

 器具及び備品 2,000,000 / 現金預金 2,000,000

 という仕訳をし、

 決算整理では、減価償却として

 減価償却費 200,000 / 減価償却累計額 200,000

 という仕訳をします。

 

 でも、ちょっと待って下さい。

 簿記の問題文では償却方法が「定額法」であることや、耐用年数が「10年」であることがさらっと書かれていますが、実務では誰がこれを決めるのでしょう?

 

 そうです。自分で決めるのです。

 大体はその会社での前例にならうことになると思いますが、耐用年数について、今まで購入したことのないような固定資産なら、法人税法の耐用年数表から自分で適切なものを選び出さなければなりません。

 

 さらに言うなら、固定資産かどうか、種類は器具及び備品なのかどうか(機械及び装置に該当するかもしれません)も自分で判断しなければいけません。

 

 法人税法上では

・使用可能期間が1年未満のもの

 または

・取得価額が10万円未満のもの

 は、取得価額の全額を損金算入してもよい(つまり固定資産として扱わなくてよい)こととしています。

 

 とある飲食店が25万円のカーテンを購入したとします。

 一般的には使用する期間は1年以上でしょうから、固定資産に該当します。

しかし、下手な例えで申し訳ありませんが、その飲食店が焼肉店で、煙や匂いがつくために1年以内にカーテンを交換している場合は、使用可能期間が1年未満になるので、固定資産とはなりません。

 つまり、業種ならではの使用状況などによって判断が変わってくるわけです。

 

 実際は税理士や税務署と応相談となると思いますが、簿記の問題文に書かれている内容そのものを実務では自分で決めなければならないのです。

 

 また、固定資産の種類の判別もなかなか複雑です。

 たとえば以下は、機械及び装置として租税特別措置法の適用を受けていた固定資産が、税務署の判断では器具及び備品とされたため措置法の適用を否定されて更正処分を受けた、という事例です。

https://www.nta.go.jp/ntc/soshoshiryo/kazei/2009/pdf/11116.pdf

 

 これ以外にも交際費の扱いなど、簿記の試験勉強の内容と実務の違いはいろいろあるのですが、総じて言えば、実務ではどうしてもある程度の税法の知識が必要になってくることです。

 企業経理の場合、特に法人税法消費税法は避けて通れません。

 もし経理でステップアップしたいと思っている方は、税理士試験の勉強ほどがっつりやらなくてもいいので、一度体系的な税法の勉強をすることをお勧めします。

 

 というか、私もやらなきゃ。

 

スッキリわかる 日商簿記2級 商業簿記 第8版 [テキスト&問題集] (スッキリわかるシリーズ)

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