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器用貧乏は赤魔道士になれ

極小ベンチャー企業のひとり管理部門担当者が、多岐に渡る日々の業務のことだったり全然関係ないことだったりを書くブログ

美術品が減価償却できるって知らなかった!-平成27年度法人税法改正

 以前、無償減資した場合やグローバルな取引に関する消費税などの法改正についてのエントリーを書きましたが、平成27年度の税法改正でちょっとした変わり種がひとつありました。

 それは、美術品の減価償却がしやすくなった、ということです。

 

 今勤めている会社はお金にピーピーしているのでさすがに美術品は所有していませんが、以前勤めていた会社は絵画や彫像などの美術品を持っていました。

 損害保険を見直す際に鑑定をしてもらったようなのですが、高価なホンモノもありました。

 そのホンモノの前を通る時は、これがウン千万円もするんだー、みんなレプリカだと思っているんだろうなー、なんて考えていました。おそらくホンモノだと知っていたのは社内の中でも少数の人たちだったと思います。

 で、当時は確かその会社では美術品の減価償却はしていませんでした。

 

 平成26年12月19日に「法人税基本通達等の一部改正について」という法令解釈通達が公表され、減価償却できる美術品の範囲が大きく変わりました。

 この改正以前は、美術品というものは基本的には減価償却に馴染まない(つまり価値が目減りしない、むしろ作者が亡くなれば価値が上がる)という解釈でした。

 

<改正”前”の美術品等の非減価償却資産の判定>

 改正前の通達では、取得した美術品等が非減価償却資産かどうかは、古美術品のような歴史的価値や希少価値があるものを除き、以下の2点において判定されていました。

1.美術関係の年鑑等に登載されている作者が制作した作品

2.取得価額が1点20万円(絵画の場合は号当たり2万円)以上

 ただこの通達については、合理性がないとか、実情とかけ離れているなどの意見が以前からあったようです。

 

 まず、美術関係の年鑑はいくつもあり、掲載基準もいろいろです。昔知り合いの画家さんに聞いた話なのですが、掲載料さえ払えば載せてくれるところもあるようです。個展などを開く際に値付けの根拠にしたりするんだそうで。

 また、取得価額での基準を20万円の線引きも、一般人の感覚としても低く感じませんか? ちょっとしたブランド物のバッグや時計なんて、それぐらいしますよね。

 

 <改正”後”の美術品等の非減価償却資産の判定>

 改正後の通達では、取得価額が1点100万円以上(絵画の号数基準はなくなったようです)、かつ、時の経過により価値が減少することが明らかでない美術品等を非減価償却資産として判定することとなりました。

(古美術品のような歴史的価値や希少価値があるものを除くところは同じです)

 ちなみに取得原価には運賃や運送保険料、関税、据え付け費用、額縁代なども含まれます。

 

 なお、この「時の経過により価値が減少することが明らか」なものとして、以下の項目を全て満たす美術品等が具体例として挙げられています。

1.会館のロビーや葬祭場のホールのような不特定多数の者が利用する場所の装飾用や展示用(有料で公開するものを除く。)として取得されるものであること。

2.移設することが困難で当該用途にのみ使用されることが明らかなものであること。

3.他の用途に転用すると仮定した場合に、その設置状況や使用状況から見て美術品等としての市場価値が見込まれないものであること。

 

減価償却の方法>

 この法改正は平成27年1月1日より適用されます。

 ですので、平成27年1月1日以後に取得した美術品等はもちろん新しい取扱いがなされます。

 

 では、平成27年1月1日以前に取得してからずっと減価償却してこなかった美術品等の扱いはどうなるのでしょうか?

 

 なんと。

 

 平成27年1月1日以後最初に開始する事業年度において、新しい通達により減価償却資産に該当すると判定された美術品等は、平成27年1月1日に取得したものとみなして減価償却できるのです。

 逆に言うと、この時期に新基準で再判定して減価償却資産に該当するものとしなかった美術品等については、この先ずっと減価償却できません。

 節税対策が求められる企業は、このタイミングでの再判定を忘れないようにしましょう。

 

 美術品等における減価償却資産の種類としては、たとえば絵画の場合だと「器具及び備品」の室内装飾品に該当するものと思われます。

 器具及び備品の減価償却は、平成24年4月1日以後に取得したものの場合は、定額法もしくは200%定率法になります。

 よって、平成27年1月1日以後に取得したもの、もしくは平成27年1月1日に取得したとみなしたものは、基本的には定額法もしくは200%定率法で減価償却することになります。

 

 

 バブルなんてはるか彼方の銀河系くらい遠い存在となってしまいましたので、美術品に投資する企業なんてもうあまりないとは思います。

 しかし、この再判定は平成27年1月1日以後最初に開始する事業年度にしかできませんので、うまく活用しましょう。

 

ポケット図解 減価償却がよ~くわかる本

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