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器用貧乏は赤魔道士になれ

極小ベンチャー企業のひとり管理部門担当者が、多岐に渡る日々の業務のことだったり全然関係ないことだったりを書くブログ

誰がための? 何のための? 軽減税率 -ケイリの雑感

会計・経理

 2015年度の税制改正法案が成立したことによって、2017年4月に消費税率が10%に改正されることが確定的となりました。

 さらに2016年度の税制改正大綱が2015年12月16日に決定され、軽減税率の導入についてブーイングの嵐となっている師走の折、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 

 経理担当者である私から言わせてもらうと、自分処理負担ばかりが増えて面倒なことこの上ないのですが、現場のことは取りあえず置いておいて、まずは軽減税率の根本的な意義から考えてみました。

 

 “軽減税率とは、複数税率とも言われ、食料品など生活に欠かせない品目の消費税率を標準の税率より低く抑えるものです。”

 

 軽減税率は公明党が推していた政策でして、上記の軽減税率についての説明は公明党のサイトから引用しました。

 まあ、基本的には貧困層対策なわけですが、企業の事務負担が増大してそれにかかるコストが商品に上乗せされたら結局は家計を助けることにはならない、などのさまざまな理由で反対意見も多いです。

 

 ていうか、絶対コスト上乗せしますよね。

 コストが回収できない販売額の商品なんて企業は売りたくありません。

 また、事務コストがかかった分、給料が減ったり雇用が減ったりするかもしれません。

 

 「生活に欠かせない品目の消費税率を標準の税率より低く抑える」ことには賛成ですが、それは少なくとも事務負担が増大しない方法でやるべきです。

 

1.すでに存在する消費税の「非課税区分」と比べて

 

 消費税法には元々課税の対象から除外する“非課税取引”という区分があります。

 消費に負担を求める税としての性格から課税の対象としてなじまないものや社会政策的に配慮が必要な取引に対しては消費税を課さないとするもので、以下の17項目が限定列挙されています。

 

(1)土地の譲渡及び貸付け

(2)有価証券等の譲渡

(3)支払手段(現金、小切手、手形等)の譲渡

(4)預貯金の利子及び保険料を対価とする役務の提供等

(5)日本郵便株式会社などが行う郵便切手類の譲渡、印紙の売渡し場所における印紙の譲渡及び地方公共団体などが行う証紙の譲渡

(6)商品券、プリペイドカードなどの物品切手等の譲渡

(7)国等が行う一定の事務に係る役務の提供

(8)外国為替業務に係る役務の提供

(9)社会保険医療の給付等

(10)介護保険サービスの提供

(11)社会福祉事業等によるサービスの提供

(12)助産

(13)火葬料や埋葬料を対価とする役務の提供

(14)一定の身体障害者用物品の譲渡や貸付け

(15)学校教育

(16)教科用図書の譲渡

(17)住宅の貸付け

 

 国税庁のWebページにはさらに詳しい説明がされていますので、参考までにURLを載せておきます。

https://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6201.htm

 

 私の勝手な判断ですが、

(1)~(6)、(8)・・・「消費に負担を求める税としての性格から課税の対象としてなじまないもの」

(7)、(9)~(17)・・・「社会政策的に配慮が必要」

 ということなのではないかと思います。

 特に(9)~(17)を見ると、医療・介護、出産、障害者、教育、住宅に対する支援など、国民生活への配慮が窺えます。

 

 さて、前述したように、生活に欠かせない品目に対して軽減税率を導入するということは、社会政策的に配慮が必要な取引を非課税とすることと趣旨は似ています。

 軽減税率対象の品目としては、生鮮食品や加工食品などの「食品全般」(但し酒類・外食は対象外)があります。

 たしかに食品は生きていくには欠かせないものではありますが、外食のテークアウトや出前は軽減税率の適用になったり、オマケ付きお菓子や器が高級な弁当などはどうするのか、というような線引きが難しい問題がまだ残されています。

 

 正直なところ、マクドナルドのカウンターで持ち帰りとして商品を買い、そのまま店内で食べてしまうなんて人も出てくるのではないかと思います。

 そんな時、店員さんはどうすればいいんでしょうね。

 そんな客は外に追い出す? 差額税率2%追加で払ってもらう?

 無理ですよね。下手したら殴られます。

 

 こうして考えてみると、線引きが難しい品目に軽減税率を適用するのは、消費者側でありながら生産者(サービスや商品の提供者)側でもある人にとっては対していい話ではないのではないでしょうか。

 消費者側の立場にしかいない人だけがいい思いをするように思えます。

 そういう意味では、やはり課税というのは分かりやすくする必要があります。

 

2.軽減税率は公共料金に適用すべき

 

 まとめると、軽減税率を適用するのは、

・生活に欠かせない

・事務負担が少ない

・課税対象が分かりやすい

 このような条件を満たす品目でやるべきです。

 

 軽減税率の適用品目に公共料金を上げる意見が多いのは、これらの条件に合っているからですし、私も賛成です。

 水道も、電気も、ガスも、生活には必要です。

 そもそもペットボトルのミネラルウォーターに軽減税率を適用するなら、先に水道水に適用しろって話です。

 それに水道・電気・ガスは品目の多様性もありませんから、課税対象が明白です。

 企業側としても事務負担はそう多くはならないのではないでしょうか?

 エネルギーの売り先が個人か企業かで、軽減税率を適用するかどうかを区分するという問題があるかもしれませんが、法人税率を下げるより水道光熱費に軽減税率を適用した方が中小企業支援になるかもしれません。

 

 また、定期購読している新聞に対しても適用することが2016年度の税制改正大綱に盛り込まれましたが、生活に欠かせないのはあくまで“情報”であって、新聞という紙切れではありません。

 そういう意味では、新聞という特定のメディアではなく、通信料のようなITインフラに軽減税率を適用すべきです。

 

<余談>子育て世帯臨時特例給付金の廃止

 

 2016年度から子育て世代臨時特例給付金(以下「子育て給付金」)という制度がなくなりそうです。

 この子育て給付金は公明党が継続を主張していましたが、軽減税率とのバーターのような形で自民党が廃止の検討に入っています。

 

 子育て給付金は、2015年度は子供1人当たり3千円が支給されていました。

 ちなみに、3千円分の消費税が軽減されるには、軽減税率が適用された食料品を税抜価格で15万円分購入しなければなりません。

 

(計算式)

①15万円+消費税率 8%=16万2千円

②15万円+消費税率10%=16万5千円

②-①=3千円

 

 現状の軽減税率案は現役世代に厳しいものになりそうです。

 

「消費税の軽減税率」完全解説

「消費税の軽減税率」完全解説