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器用貧乏は赤魔道士になれ

極小ベンチャー企業のひとり管理部門担当者が、多岐に渡る日々の業務のことだったり全然関係ないことだったりを書くブログ

吐き気をもよおす本 『Hard Things』ベン・ホロウィッツ

 「吐き気をもよおす」という表現は、別に不快感を持ってこの本をけなしているわけではありません。

 多少なりとも事業経営に近い位置で業務に携わったことのある人なら、この本に描写されている胃が痛くなる感じは身に覚えがあるに違いないと思うのです。

 

 著者のベン・ホロウィッツは、自身がCEOだった頃の経験を活かすべく、マーク・アンドリーセンと共にベンチャー・キャピタル(VC)“アンドリーセン・ホロウィッツ”を設立しました。

 このVCは、Facebookの上場など、今や大変な業績を上げていることで有名です。

 

 この本『Hard Things』には、その彼がCEO時代に数々の困難(hard things)に直面したときのことが書かれています。

HARD THINGS 答えがない難問と困難にきみはどう立ち向かうか

HARD THINGS 答えがない難問と困難にきみはどう立ち向かうか

 

 

 小さなベンチャー企業でひとり管理部門担当者をやっている身として、この本で著者が描写している心情に似たものは、(規模は何十桁も小さいながらも)経験してきたもので、そしてこれからも経験してゆくのでしょうか。

 血の気が引く感じとか、耳元で心臓の脈動がバクバク鳴る感じとかが身近に想像できてしまうのです。

 

 『Hard Things』は、成功者が“数々の困難を乗り越えて私はここまで来ました! その秘訣を教えます!”という類のものではありません。

 それどころか、予期しようがしまいが困難は絶えず降りかかり、脳みその血管が切れそうになりながらうまくいくかどうかも分からない対策をうまくいくと無理やり信じて実行し、なんとか切り抜けたけれどなぜ切り抜けられたかは“運”としか言えず、でも後付で考えてみれば、あの時ああしておけばもっと上手く事が運んだのではないか、という位のことなら言えます、という事が書いてある本なのです。

 正直、こういう“のた打ち回っている自分”というカッコ悪い絵面はあまり見せたくないものでしょうに、そこを余すことなく語ってくれています。

 

 今まさにベンチャー企業などを経営する立場にいる人は、この本を読んで、いつもギリギリのところで苦しい思いをしているのは自分だけではなかったんだと勇気を持って下さい。

 そして一緒に読書中の気持ち悪さを味わいましょう。

 

 そしてこれから起業をする人は、この本に書かれているとおり、事業には大なり小なり困難が次々と訪れることを覚悟して下さい。

 それを乗り越えるための成功の方程式なんて本当はないけれど、極限まで諦めずに粘り続ければ、必ず上手くいかないまでも勝率を上げることはできると思います。