器用貧乏は赤魔道士になれ

極小ベンチャー企業のひとり管理部門担当者が、多岐に渡る日々の業務のことだったり全然関係ないことだったりを書くブログ

経理の最も重要な仕事は“経理”とは何かを知ってもらうこと

 今まで幾つかのエントリーで、今の会社での経理としての働き方について書いてきました。

 

 当社は小規模のバイオベンチャーなのですが、私以外に管理部門系の仕事を経験している人も担当している人もいません。

 つまり、わたし以外は全員技術者や研究者なのです。そしてそのほとんどが博士号持ちです。

 

 彼らには、お金について考えるという習慣がありませんでした。自分たちの給料の原資が何かということも、ましてやお金を稼ぐという感覚もなかっただろうと思います。

 そんな彼らですから、私が担っている“経理”という仕事についても、どういうものかよく知らなかったでしょうし、自分の仕事にどう関係するかということも想像できていなかったように思います。

 

 この会社に入社し、数カ月後に直属の経理部の上司が辞め、わたし独りで数字の取りまとめをしなければならなくなったとき、特に痛感したのが、とにかく彼らは自分たちから経理部門の担当者に対して情報を出してこないということでした。

 

 経理が欲しい情報とは何なのかというと、「全部」です。何もかも洗いざらい全部。

 

 例えば仕事を請け負った時、受注してから仕事完了までにある一定の時間が必要だったとします。

 彼らは、仕事を終えて請求する段になって初めて仕事を請け負った事実を経理に伝えてきます。(請求するという行為すら忘れられているときもありましたが…)

 

 でも、こちらとしてはそれではもう遅いのです。受注した段階で仕事の完了時期と受注金額が分かっていれば、それを未来の資金繰りや予算実績管理に反映することができます。

 

 他にも例を出してみると。

 機械がどういう仕事にどれだけ稼働していたかが分かれば、機械に係る減価償却費を仕事ごとに按分し、原価計算をより精密に行うことができます。

 こういう情報についても、その都度報告を求めなければ、彼ら自ら情報が提供されることはありませんでした。

 

 しかしこれらの原因は、彼らが経理という仕事はどういうものなのかを知らなかったことにあります。

 彼らの中では経理担当者とは、お金を管理する(だけの)人という位置付けだったのでしょう。

 つまり、お金の動きが伴わない事柄に関しても経理担当者に状況を説明する必要性があるなど、考えつかなかったわけです。

 

 私が誰かれ構わず質問し続けたので、今ではそういう状況もかなり改善されました。

 請負仕事に対する直接経費の計算も彼らが自ら行ってくれるようになりましたし、原価や費用に対する認識も広まって、経理担当者としては有り難いかぎりです。

 博士号を持っているくらい頭が良い方ばかりですので、しっかり説明すれば理解してもらえます。

 

 そういうわけで、経理として最も重要な仕事は、“経理”という仕事は何かを理解してもらうことだと実感しました。

 もう一度繰り返しますが、経理が知っておきたい情報は、できれば業務の運営に関する「全部」です。

 なぜなら、どの情報が経理に必要で、どの情報はそうでないかなんて、経理以外の人はなかなか判別しづらいでしょうから。