器用貧乏は赤魔道士になれ

極小ベンチャー企業のひとり管理部門担当者が、多岐に渡る日々の業務のことだったり全然関係ないことだったりを書くブログ

種類株式のまとめmemo

 数年前に、当社が資金調達において新株発行による増資をするかどうかで悩んだ時期がありました。

 しかし、新株を発行すると発行済株式を保有する株主の持分が希釈してしまいますので、それを株主が懸念することが予想されました。

 なので、発行する株式についていろいろ調べていたら、種類株式というものに行き当たりました。

 種類株式については、最近ではトヨタがAA型と名付けた種類株を発行することで話題に登りました。

 

 株式会社は、定款で定めれば種類株式を発行することができます。

 種類株式には以下の9種類がありますが、これらを組み合わせた株式(混合株)を発行することも可能です。

 

1.剰余金の配当に関して規定したもの

 会社が配当するときに、種類株によって1株当たりの配当の金額を変えることができます。

 標準的な配当額の株式を普通株、それより優先して配当を受けられる株式を優先株普通株より低い配当額の株式を劣後株といいます。

 たとえば、普通株より高い発行価額で優先株を発行し、それで得た資金の一部を使って普通株を取得すれば、株式の希釈化は防げます。

 

2.残余財産の分配に関して規定したもの

 会社が清算するとき、残余財産を出資者に分配します。

 1.の剰余金配当のように、その残余財産の分配に関して普通株優先株、劣後株を発行することができます。

 

3.議決権の制限に関して規定したもの

 株主総会での議決権の全部または一部が与えられないという株式です。

 株主の中には、議決権の行使には興味がなく、利益さえ得られればそれでよいとする人が少なくありません。

 そういう人には1.の優先株に議決権の制限を組み合わせれば、会社の支配状況を大きく変動させずに新株を発行できます。

 しかし、あまりにこの種類株式を濫用すれば少額の出資者が会社の経営を支配することになるかもしれませんので、上場会社の場合、この種類株式数を発行済株式総数の2分の1以下にしなければいけません。

 

4.株式の譲渡制限が付されたもの

 株式を譲渡する際、その株式会社の承認が必要となる株式です。

 もし承認を得られないまま譲渡しても、譲り受けた人は株式会社に対して株主としての立場を主張できません。

 ちなみに、株式を譲り渡したい人が会社に譲渡の承認を求めても拒絶されてしまった場合、会社は自身でその株式を買い取るか、他に買い取る者を指定しなければいけません。

 

5.取得請求権が付されたもの

 社債新株予約権新株予約権社債、またはその会社の他の財産と引き換えに、株主が持っている株式を会社が引き取ることを請求できる株式です。

 株式と交換で株主に与えるものについての内容は、定款で定めておきます。

 

6.取得条項が付されたもの

 一定の事由が生じたときに、会社が株主から取得することができるという株式です。

 5.とは逆に、会社から株主に株式の取得を請求できるものですが、それと交換に株主に与えるものについての内容を定めておかなければならないところは5.と同じです。

 

7.全部取得条項が付されたもの

 6.と同じで会社が株主の保有する株式を取得できる株式ですが、6.と違うところは、一定の事由が生じたときに取得するのではなく、株主総会の特別決議によってこの種類株式の全部を会社が取得できるというところです。

 たとえば定款変更ですでに発行済みの普通株式を全部取得条項付種類株式として定め、これらをすべて会社が取得すれば100%減資も可能です。

 

8.拒否権が付されたもの

 この種類株式が発行されている場合、株主総会の決議事項の承認を得るためには、通常の株主総会での決議に加えて、この種類株式を保有する株主で開かれる種類株主総会での決議が必要になります。

 言い換えれば、この種類株式の持ち主は、株主総会の決議事項において拒否権があるということです。

 ちなみにこの種類株主総会の決議が必要になる事項はあらかじめ定款で定めておきます。

 この種類株式はある意味大変な権限があるので、「黄金株」とも呼ばれています。

 たとえば敵対的買収案が株主総会で決議されても、たった1株だけ発行された黄金株を保有する友好的な株主が拒否すれば、敵対的買収を阻止することができるのです。

 

9.取締役または監査役の選任に関して規定したもの

 この種類株式が発行されている場合、この種類株式を保有する株主で開かれる種類株主総会で取締役または監査役を選任することができます。

 ベンチャーキャピタルなどがガバナンスを効かせたいときなどに利用することができます。

 また、この方法で選任された取締役は、この種類株式総会の決議で解任することもできます。

 なお、委員会設置会社や上場会社ではこの種類株式を発行することはできません。

 

 これらの規定によって、会社が発行する株式の一部を種類株式にすることができるわけですが、「4.株式の譲渡制限」「5.取得請求権付」「6.取得条項付」という機能については、会社が発行する全ての株式について適用できるような定めを設けることができます。

 つまり、4.と5.と6.の特質については、一部の株式に付すこともできるし、全部の株式に付すこともできるのです。

 

 平成18年の会社法改正によってこれらの種類株式の発行が柔軟に行えるようになり、それ以前はかなり厳格に制限されていたようです。

 このような種類株式を利用して、資金調達を行ったり、事業承継対策を取ったりすることができるようになりました。

 

?株式・種類株式<第2版> (【新・会社法実務問題シリーズ】)

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