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器用貧乏は赤魔道士になれ

極小ベンチャー企業のひとり管理部門担当者が、多岐に渡る日々の業務のことだったり全然関係ないことだったりを書くブログ

一般社団法人だって利益を上げても構わない

 当社のバイベンチャーという事業の性質上、ときには学会の総会などで展示ブースを設けて研究者や企業の方々から事業開発に対する理解を得る機会があります。

 学会の中には一般社団法人という法人の形式を取っているところが結構あり、当社としても一般社団法人の立ち上げに関わりそうな案件が出てきました。

 

 しかし「一般社団法人」という法人形態について今まで深く考える機会がなかったので、なんだかよく分かりません。

 というわけで、一般社団法人とは何なのかを、株式会社などの他の法人との違いを見ていくことによって勉強してみました。

 

一般社団法人とは>

 一般社団法人とは、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」に基づいて設立された社団法人のことです。

 ちなみに「社団」とは人の集りのことで、「財団」はお金の集りのことです。

 さらに言うと、公益財団法人とは、一般社団法人のうち公益を目的とする事業を行うもので、内閣総理大臣または都道府県の認定を受けたものです。

 

<利益を上げてもいい>

 まず株式会社ですが、法人の出資者(株主)が儲けることを目的として存在する法人=営利会社です。

 「出資者(株主)が儲ける」とは、言いかえれば、法人がその営業活動により生み出した利益を配当などによって出資者(株主)に配るということです。

 

 一方、一般社団法人というのは、営利を目的としない法人です。

 この「営利を目的としない」とは、株式会社とは反対に、会社が生み出した利益を出資者には配らないという意味です。

 

 「営利を目的としない」という言葉から来る誤解として

 ・公共性のある事業しかしてはいけないのではないか

 ・会社はサービスを格安で提供しなくてはいけないのではないか

 ・利益をあげてはいけないのではないか

 ・スタッフはボランティアのみで報酬(給料)を受け取ってはいけないのではないか

 というものがあろうかと思います。かくいう私もなんとなくそんな認識でした。

 

 しかし、上記でも説明したように、「営利を目的としない」とはあくまでも利益を配当しないということなので、利益を上げてそれをまた法人の運営費に充てることは制限されていません。

 ですから、社団法人は特段公共性のないサービスを有料で提供してガンガン利益を上げてもよく、当然従業員はお給料を貰っても構いません。

 

<設立について>

 株式会社は、資本金1円で設立できます。

 設立には発起人1名がいれば可能です。

 

 一般社団法人の場合、設立に出資金は不要ですが、社員(法人の構成員)が2名以上必要です。しかし、設立後に社員が1名になっても解散の憂き目にあうことはありません。

 なお、社員とは従業員のことではなく、社員総会において議決権を持つ人のことで、社員になる資格は定款によって定められます。

 

 設立時の登録免許税は株式会社が15万円ですが、一般社団法人は6万円ですみます。

 ちなみに、公益社団法人を設立したいときは、一旦一般社団法人を設立してから公益社団法人としての認定を受ける手続きを取ります。

 

<意思決定機関について>

 株式会社は、株を取得した人が株主(出資者)となり、株主総会において議決権を持ちます。つまり、基本的にはお金を出さないと意思決定に参加できません。

 

 一般社団法人における株主総会に相当する意思決定機関は社員総会です。前述のように、社員になる資格は定款によって定められ、また定款で社員に経費負担の義務を負わせることもできます。

 逆に言えば、社員が経費負担を負わない場合もあり得ますので、この場合はお金を出さなくても社員になることができるわけです。

 

 株式会社では株主総会がトップ組織で、その下部組織が取締役もしくは取締役会となります。

 一方、一般社団法人では社員総会がトップ組織で、その下部組織が理事もしくは理事会となります。

 取締役会は書面決議が可能ですが、理事会ではそれができません。あくまで開催された理事会の中で決議事項の承認を行います。

 

<資金調達の方法>

 株式会社は、株式を発行して資金を調達します。また、金融機関からの融資や、公的な融資制度も利用することができます。

 

 一般社団法人が資金調達するには、企業から協賛金(寄附)を募る場合や、会員から会費を募る場合、または「基金」を募る場合があります。

 また、ある程度収益性の高い事業計画があれば、公的融資制度も利用できるようです。

 

 「基金」とは、社員や社員以外の人から拠出してもらった財産で、使途に制限がなく、自由に使うことができます。

 株式会社でいう資本金に似ていますが、資本金と違う点は、返還義務が存在しているところです。

 ただ、返還義務といっても、返せと言われたら返さなくてはいけないようなものではなく、一定の条件と手続きが必要となります。

 なので、基金は返還義務があるということで一応負債ではありますが、返還は解散時などにほぼ限られるため、株式会社の資本金的性質を持ち合せています。

 

<税法上の扱い>

 一般社団法人は公益事業と営利事業の両方を行えるので、税務上の取扱いは法人の種類と事業内容によって「非営利型法人」と「非営利型法人以外」の二通りがあります。

 非営利型法人とみなされた法人は、収益事業から生じた所得のみが課税対象となります。

 非営利型法人以外の法人とみなされた法人は、株式会社同様、全ての所得が課税対象となります。

 法人住民税の均等割りについては、株式会社の場合は資本金等の金額が大きくなれば税率も高くなりますが、一般社団法人の場合は最低税率が適用されます。

 なお、公益法人に適用されるみなし寄付金制度は一般社団法人には適用されません。

 

<メリット>

 株式会社ほどではありませんが、個人事業主でいるより信用度は上がりますので、人材の確保などでは個人事業よりは人が集まりやすくなるなどのメリットがあります。

 銀行口座も法人名義で開設することができます。

 しかも、契約するときは法人として契約するので、損害賠償などの際は、設立者などに過度の金銭的責任が及ぶことはありません。

 一般社団法人は公益的なイメージがあるので、企業へ寄付をアピールしやすくなります。

 法人住民税の均等割りの税率が低く抑えられています。

 

<デメリット>

 やはり株式会社よりは社会的信用度が落ちます。

 また、株式会社は1名でも設立できますが、一般社団法人は設立に2名以上の構成員が必要になります。

 当然のことながら、株主への配当が禁止されているため、上場できません。

 一般社団法人一般社団法人または一般財団法人としか合併できません。また、株式会社など、他の種類の法人に組織変更することもできません。

 もし株式会社にしたいなら、他の株式会社を設立し、一般社団法人で行っている事業をそちらに譲渡するという形を取る必要があります。

 

 ここまでいろいろと一般社団法人の特徴を見てきましたが、結論としては、株式会社ほどには営利にベクトルの向いた組織は必要ではないけれども、ある程度は社会的な形を確保しておきたいというニーズに応えられる法人、といったところでしょうか。

 昨今は社会起業も流行っていますので、結構使い勝手のいい法人形態かもしれません。

 

改訂版 一般社団・財団法人設立完全マニュアル

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