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器用貧乏は赤魔道士になれ

極小ベンチャー企業のひとり管理部門担当者が、多岐に渡る日々の業務のことだったり全然関係ないことだったりを書くブログ

「働く意味」はある日ポケットの中

 先日こんなエントリーを目にしました。

 「なんで働かないといけないんですか?」と聞いた学生への、とある経営者の回答

http://blog.tinect.jp/?p=10598

 

 これを読んで、ふと思いました。

 そんな疑問が湧くほど、「働く」って特別な意味を持つことでしたっけ?

 

 どういう思いでこの学生さんがそういう質問をしたのかはわかりませんが、私なりに働く意味というものを考えてみようと思います。

 

 私がまだ子供の頃、両親は小さな工場を営んでいました。受注した仕事が多いとき、父はよく製造部品を自宅に持って帰ってきて、私たち家族が部品の組み立てを手伝いました。

 一家で丸く車座になって、流れ作業で部品を組み立てます。当然小さかった私もその輪の中に加わって作業をしました。我が家にとってはある意味それが一家団欒のようなものでした。

 

 私たちが組み立てて梱包した完成品が、取引先に納品されて我が家にお金が入り、そのお金でご飯を食べたり、服を着たりしている。そんなふうに、深く意識はしていなくても、労働によって生活が成り立っていることを子供ながらに実感していたように思います。

 

 私が高校に入学すると父は私に、世間勉強のためにアルバイトをするように言いました。私も自分の自由になるお金が欲しかったので、すぐにレンタルショップでアルバイトを始めました。結構バリバリ働いていたので、友達の中ではお小遣いを多めに持っていた方だと思います。

 

 このように、子供の頃から私の頭の中には「働く」=「糧を得る」という意味付けがなされていました。

 また、働くことはとても身近な行為で、部屋の掃除をしたり、洗濯物を畳んだり、スーパーに食料品の買い出しに行くというような、日常的な行動とさして変わりないものでした。

 

 でも、もし両親が自営業じゃなくて、子供の頃から働くことが身近でなかったら。

 もし学生時代にアルバイトをしていなかったら。

 そういう人は、まだ社会に出る前は、働くことに対してどんなイメージを持っているのでしょうか。

 

 なぜ働かなくてはいけないのかと疑問を持つということは、働くことに何らかの特別な意味があるという前提が、自分や周囲の人の心の中に潜んでいるのを感じ取っているからだと思います。

 就職活動の面接で「あなたにとって働くとはどういうことですか?」と質問されることもあるそうですから尚更です。

 

 上記のエントリーでは、働くことによってもたらされる6つのことを挙げています。

 1.お金

 2.明確な目標

 3.出会い

 4.学び

 5.信用

 6.自信

 

 ただし、これらはあくまで「働くことによってもたらされるもの」であり、「なんで働かないといけないんですか?」の直接的な答えにはなっていません。

 

 1番目の”お金”が働くことによってもたらされるものであることは、働いたことがない人でも想像がつきます。

 一方、2番目以降は働いてみて初めて実感することばかりです。また、これらは働くモチベーションにもなり得ます。

 しかし、この2番目以降の「もたらされること」が自身の働く目的であると断言できる人が一体どれほどいるでしょうか?

 

 ちなみに私の場合、生活費が必要で働いています。人一人が極端な倹約をせずに過ごせるくらいの収入があれば十分です。

 そして2番目以降の「もたらされること」については、働く結果として得ることができれば嬉しいですが、それが働く目的かと問われればやはり違います。

 また、それらは働く以外の方法でも得ることができるので、働く目的としてこだわる必要もありません。

 

 私には志がありません。人生の目標がありません。特にやりたいこともありません。そういうことは起業家や政治家の皆さんにお任せします。

 私は日々平穏に過ごせればそれでいいです。そのために必要な収入があればそれでいいです。その為に働いています。

 

 それをクリアした上で、働くことについて他に何が欲しいかと問われれば、楽しさや面白さが欲しいです。

 何が楽しいかは人によってそれぞれ違います。私が楽しさを感じるときは、新しい事=今まで知らなかった事に出会ったときです。ですから変化の多いベンチャー企業という環境は、大変ではあるけれど、私には面白い職場です。

 

 志のある人は社会を変えてください。目標のある人はそれを追ってください。そういうものはないけど新しい物好きの私は、志や目標のある人たちの列車(ベンチャー企業)に乗っかって、新しい世界の発見に経理職として同行しています。

 私にとって金銭の次に働く意味を挙げるとすればこういうことでしょうか。新しいものに出会うことは働かなくてもできますが、勤務時間中に実現できれば効率的です。

 

 私のように志も夢もないのに、働く前から大言壮語的な「働く意味」を求められる就活生が少々気の毒です。

 なぜなら就職活動中は、働くという行為にはお金を稼ぐこと以外にもいろいろ有意義な“何か”が詰まっていることになっているからです。

 そして、その“何か”のうちのひとつでも欠ければ、働く意義が薄れたように感じてしまうのです。

 

 私の場合、生活費が稼げれば基本的にミッション・コンプリートです。だから仕事で今まで知らなかったことに触れることができれば、それを幸運なことと受け止めて喜ぶことができます。

 

 肥大化した「働く意味」など必要ありません。他人がどうかではなく、自分にとって本当になくてはならないものは何かを見定められれば、それだけでも人生上等です。

 そして眼前の仕事をひとつひとつこなしていき、ある日気が付いたら自分だけの「働く意味」がポッケに入ってた。それくらいが丁度いいのではないでしょうか。