自分に合った仕事って何だ?
「好きなことを仕事にした方がいい」の“好き”は、“寝食忘れて四六時中そのことばかり考えているくらい好き”という意味だと前回書きました。
そして、たとえ好きレベルがそれ程ではなくでも、好きなことを仕事にすべきかどうか悩んでいる人は、とにかくさっさとチャレンジして、さっさと夢破れた方がいい、とも書きました。
さて、夢が破れた後はどうしましょうか。
また、チャレンジする程に好きなことがない人はどうすればいいのでしょう。
「好きなことを仕事にした方がいい」以外によく言われる職探しキーワードは「自分に合った仕事を探そう」というものです。
検索サイトで「自分に合った仕事」とワードを入力すると、適職診断のHPがたくさんリストアップされます。
“内向的な性格”だとか“論理的に物事を考える”だとかを答えていくと、「あなたに合った職業は●●です。」と教えてくれます。
どういうアルゴリズムなのか分かりませんが、私は昔からよく研究職と芸術家を勧められます。どちらの職業にもあまり興味がないので、そんなものを勧められても困ります。
で、私が気になるのは、ここで自分に合った仕事として挙げられるのが「職業」であるという点です。
別に適職診断しなくても、家族や友人に自分にはどんな仕事が合っているのかを尋ねてみれば、返ってくる答えはネイリストや料理人などの職業名ではないでしょうか。
そして仕事を探している側も、<自分に合った仕事=何らかの職業>という前提で考えている場合が多くはありませんか?
今の仕事は自分に合っていないのではないかと悩んでいる人も、今就いている“職業”が合っていないと考え、ではどういう“職業”が自分に合っているのかと迷っているのではないでしょうか。
しかし、合っていないのは“職業”ではなく、職場環境なのかもしれません。
私はかれこれ10年ほど経理をしています。経理の経験は今の会社で2社目です。今は環境変化が目まぐるしいベンチャー企業にいますが、1社目は創業60年以上の老舗企業に勤めていました。
ブログのタイトルのとおり、私は器用貧乏です。特別得意なものはありませんが、大抵のことはそつなくこなせます。そのため、ルーティン的な仕事は覚えるのが早いです。
そしてとても飽き性です。仕事を一通り覚えると、途端に仕事がつまらなく感じてしまうのです。
1社目での経理の仕事はまさにルーティンワークの積み重ねで、3年目に入ると退屈で退屈でたまりませんでした。
経理を担当する前、私は同じ会社で給与計算や社会保険の手続きなどの人事労務を担当していました。
人事労務の仕事は人間が相手ですので、従業員のプライベートな事情が発生すれば、仕事もそれに応じて発生します。子会社を合わせて1000人ほど従業員がいましたので、たとえ些細なことであっても毎週何かしら従業員の事情に合わせた変化がありました。
それと比べて、その会社での経理の仕事は変化のないものでした。元々経理職に就くことを目指してその会社に入社したのですが、私には経理は向いていなくて、いっそのこと人事にキャリアチェンジしようかと思ったものです。
今の会社に転職してからは変化の連続で、退屈しません。3か月後には会社がどうなっているか分からないというスリリングな状況です。まあ、資金ショート寸前など心臓に悪い事態もありましたが。
状況がコロコロ変わるので、予算なり予測キャッシュフローなりを頻繁に策定しまくりです。自分で未来を予測して作るわけですが、未来が見えないことが面白いのです。
つまり、私は変化のない環境の経理職には向いていませんが、変化に富んだ環境の経理職には向いているわけです。
今の仕事は自分に合っていないのではないかとお悩みの方は、今一度職業が合っていないのか環境が合っていないのか見定めてみてはいかがでしょうか。