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器用貧乏は赤魔道士になれ

極小ベンチャー企業のひとり管理部門担当者が、多岐に渡る日々の業務のことだったり全然関係ないことだったりを書くブログ

無償減資に幸あれ! ~平成27年度税制改正

 平成27年3月31日に「地方税法等の一部を改正する法律」が公布され、原則として平成27年4月1日より施行されました。

 

 主な改正内容としては、

 ・法人事業税の所得割の税率引下げ及び外形標準課税の拡大等

 ・消費税率10%への引上げ時期の変更等

 などがありますが、当社として嬉しいのが、法人地方税の以下の改正です。

 

 ”資本割の課税標準である資本金等の額が資本金と資本準備金の合計額を下回る場合、当該額を課税標準とする。また、法人住民税均等割の税率区分の資本金等の額を資本割の課税標準に統一。”

 

 税法に関わっていない人にとっては意味不明な文章だと思います。

 

 会社が支払う税金というと、一般的な人々にとっては、利益のうちいくらかが徴収されるとか、利益がなければ税金は払わなくてもいい、というような程度の認識だと思います。

 業績が赤字のときに、資金繰りの計画に法人税の支払いが予定されているのを見て、“なぜ税金を支払わなければならないのか”と当社の役員にもよく質問されました。

 

 しかし、利益がなくても支払わなければならない種類の税金があるのです。それは法人住民税の均等割です。(資本金が1億円を超える企業の場合は、これに加えて外形標準課税があります。)

 

 法人住民税の均等割は、企業の資本金等の額によって納税額が決まります。

 ここで注意が必要なのは、「資本金等」という言葉です。“資本金”ではなく。

 

 たとえば、1億2千万円を出資して、資本金6千万円、資本準備金6千万円の会社を設立したとします。

 ちなみに資本準備金とは、出資された金額のうち、資本金としなかった額をいいます。

 資本金と資本準備金では、これらを取り崩す際の手続きが違っており、資本準備金の方が簡単です。ある程度柔軟に利用できるようにしておくため、出資金の一部(出資金の2分の1が限度)を、資本金ではなく資本準備金としておくことが多いです。

 

 話は戻りますが、この会社の資本金は6千万円です。

 しかし、資本金等の額は1億2千万円なのです。

 ですので、この会社の法人住民税の均等割の納税額は、1億2千万円を基準として決まります。

 神奈川県の場合、資本金等の額が1億2千万円の企業の法人県民税の均等割の納税額は13万円となります。

 

 ときに企業は減資というものを行います。最近ですとシャープの99%減資が記憶に新しいことと思います。

 減資とは、その文字のとおり、資本金を減らす行為です。

 

 減資には、有償減資と無償減資の2種類があります。

 

 有償減資とは、出資してくれた株主に金銭をお返しすることで、増資とは真逆です。

例えば、先程の資本金6千万円、資本準備金6千万円の企業が、株主に資本金2千万円、資本準備金2千万円返却したら、資本金4千万円、資本準備金4千万円となり、資本金等の額は8千万円になります。

 ちなみに神奈川県の資本金等の額が8千万円の企業の法人県民税の均等割の納税額は5万円です。

 

 一方、無償減資というのは、有償減資と違って金銭の動きはなく、帳簿上でのみ資本金を減らすことです。

 資本金6千万円、資本準備金6千万円の企業に、累積した損失が4千万円あったとします。

 資本金2千万円、資本準備金2千万円を取り崩してその分を損失4千万円と相殺し、帳簿上は資本金4千万円、資本準備金4千万円、損失ゼロとしました。この会社の資本金等の額はいくらでしょうか?

 

 答え:今回の法改正がされるまでは、1億2千万円のままでした。8千万円に減らして納税額を算定することはなく、減資はなかったものとして課税基準額が決められていました。

 つまり、神奈川県の場合、5万円ではなく13万円の法人県民税の均等割を納税しなければならなかったのです。

 

 ところが、平成27年度税制改正で、無償減資でもある一定の要件を満たしていれば、減資分を減らした資本金等の額を課税基準額とすることができるようになりました。

 

 一般的に、無償減資は前述のように損失と相殺することが多く、儲かって配当がバンバン出せるような会社がすることではありません。

 特にバイベンチャーは増資で資金調達することが多く、資本金等が数10億と多額でありながら、事業化がうまくいくまで損失を計上し続けます。

 しかし、資本金等を課税基準とすると、企業実態とかけ離れた大企業並みの納税額になってしまいます。

 

 当社も過去に無償減資を行っており、資本金を1億円未満にしましたので事業税の外形標準課税は納税義務がなくなりましたが、法人住民税の均等割は相変わらず高額のままでした。これでやっと当社の規模らしい(?)納税額となりそうです。

 

 今回は法人住民税の均等割だけを例に出しましたが、事業税の資本割についても同様です。とにかく、無償減資を過去に行った、もしくはこれから行う企業にとって、今回の税制改正は福音といえるでしょう。

 

第八次改訂 会社税務マニュアルシリーズ 第2巻 増資・減資

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