器用貧乏は赤魔道士になれ

極小ベンチャー企業のひとり管理部門担当者が、多岐に渡る日々の業務のことだったり全然関係ないことだったりを書くブログ

研究成果はヒ・ミ・ツ -新規性と発表欲求の狭間で-

 前回は特許権について書きました。

 

jackofalltradesandmasterofnone.hatenablog.com

 

 そもそも発明において特許権が成立するにはいくつか要件があります。

 そのうち、重要だといわれているのが、以下の2つです。

 

1.新規性があるか=世に知られていないか

2.進歩性があるか=簡単に考え出せるようなものでないか

 

 バイベンチャー企業の創業期で、研究者が創立メンバーに入っているような場合、一つ目の「新規性」については要注意です。

 

 研究者の中には、当然ながら研究成果を論文や学会で発表するが評価されることにも繋がるので、これらを達成することを研究のモチベーションとしている方もおられるでしょう。

 しかし、特許を出願する際には、論文や学会で研究成果を発表すると、その時点でその成果が世に知られる、イコール”新規性がない”とみなされてしまうのです。

 つまり、論文や学会で発表する前に特許を出願しておく必要があるわけです。

 

 ただし、これについては特許法において例外規定があります。学会などでの公表から6カ月以内に出願すれば、新規性を喪失していないとみなす、というものです。

 (この規定の適用を受けるには、他にもいくつか要件があります。)

 

 しかし、こういう例外規定があるからといって、発表の場でうっかり研究成果を漏らしたりしてはなりません。

 なぜなら、まず、これは日本国内においてのみ有効な規定なので、同様の規定がない諸外国での特許出願については、新規性を失ったとされてしまいます。

 たとえば、欧州では、出願前6カ月以内の規定される国際博覧会での発表でなければ、この例外規定は適用されません。つまり他の場で公表した場合はアウトなのです。

 

 また、もし学会などで発表した内容に近い事を考えついていた人が既にいたとして、その人がその発表された内容によって改良したその人自身の発明を先に出願してしまえば、特許権はその人のものになってしまいます。

 

 あの大騒ぎになったSTAP細胞においても、公表されるより先に特許出願がなされています。特許出願では論文ほど科学的根拠が重視されないようなので、見切り発車で出願してしまったのかもしれませんが。

 

 とにかく、研究成果を発表したいという研究者の欲求と、技術を秘匿しておきたいという企業の思惑が相容れない場合がありますので、バイベンチャーは気を付けておかなければなりません。

 

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