器用貧乏は赤魔道士になれ

極小ベンチャー企業のひとり管理部門担当者が、多岐に渡る日々の業務のことだったり全然関係ないことだったりを書くブログ

補助金事業で得るのは研究成果だけじゃない -鍛えられる事務処理能力-

 当たり前の話ですが、研究開発をするにはお金が必要です。

 その資金を調達するには、投資家やベンチャーキャピタルに出資してもらったり、実業で稼いだり、金融機関から借りたりするわけですが、補助金制度を利用するという方法もあります。

 

 新規の技術開発のために資金を補助してくれる機関がいくつかあります。

 メジャーなところだと、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(通称「NEDO」)や、国立研究開発法人科学技術振興機構(通称「JST」)などがあります。

 NEDO経済産業省系で、JSTは文部科学省系です。

 ついでに言うと、農林水産省系だと国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(通称「農研機構」)があります。

 

 ちなみに「国立研究開発法人」という法人区分は、2015年4月1日に施行された「独立行政法人通則法の一部を改正する法律」によって新たにできたもので、上記の3機関はそれまでは独立行政法人でした。

 

 補助事業の提案から完了までの流れを私が経験した範囲内で振り返ってみます。

 まず、国立研究開発法人から研究課題の募集が告知されます。公募の情報はそれぞれの法人のWebサイトで見ることができますし、「e-Rad」という府省共通研究開発管理システムで確認することもできます。

 また、公募するにあたって、事前に説明会が開かれたりします。

 

 そして、まず最初の審査は書類審査です。応募したい課題があったら、応募書類を作ります。

 私は応募の手続きに関しては、財務情報を応募書類に記載する以外にあまり関与したことがありませんが、書類の作成を傍から見ていると、結構大変そうです。

 まず、この時点でかなり詳細まで研究開発計画を決めておかなければなりません。

 

 どこの企業や大学の誰が研究を担当するのか。

 その研究者の経歴は?

 どんな技術の開発を支援して欲しいのか。

 その技術は今どこまで開発が進んでおり、支援を受けてどこまで開発を進めたいのか。

 その技術に関しての国内や国外の動向はどうなのか。

 実用化するのにどのような道筋でどの企業の協力が得られるのか。

 何の用途でどれだけの資金が必要なのか。

 

 今思いつくだけでもこれだけあります。

 フェーズによっては必要がない場合もあると思いますが、実用化に向けた他企業の協力という項目は、結構難しい問題だと思います。

 新しい事をするにはリスクが付き物ですが、(特に大手の)企業はどうしてもリスクを避けたがりますので、実用化の目途の確かさが見えなければなかなか協力を得られません。

 しかし、そもそもその実用化の確度を上げるために研究開発をするわけで、その前に協力企業を探せといわれてもちょっと困っちゃいます。

 

 書類審査を通過すると、次の審査はヒアリングです。ヒアリングに使用する資料は前もって提出しておかなければなりません。プレゼンと質疑応答的なものが行われるようです。

 これらを経て採択課題が決められます。

 

 採択され、研究開発を実施する間もたくさんの書類仕事が発生します。私は経理担当なので、この補助事業の特に支出に関する証憑書類を管理するわけですが、見積もりを取るところから代金を支払うまでの過程に関係するあらゆる書類を揃えて保管しておかなければなりません。

 しかも書類1枚1枚をファイリングする順番まで事務処理要領等で決められていたりしますので、思い出しただけでもゾっとします。

 慣れている仕入業社はこの辺りの事情を心得ているので、細かく書類を揃えてくれます。だから多少高い仕入値を吹っ掛けられても仕方ない、という気持ちになるのかもしれません。

 

 私の前任者時代の頃に採択された補助事業について、事業が完了してから5年後くらいに会計検査院の検査があり、私はそれ立ち合いました。

 この事業で購入した物品の数や、人件費を計上する人数が多かったので、経理関係の書類だけでもファイルがいくつもあってすごい量でした。書類を揃えて保管するためだけに人を雇いたくなるレベルです。この頃に入社しなくてよかったと本気で思いました。