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器用貧乏は赤魔道士になれ

極小ベンチャー企業のひとり管理部門担当者が、多岐に渡る日々の業務のことだったり全然関係ないことだったりを書くブログ

入社2か月で資金ショート目前ってどうよ

 そんなこんなで入社して2カ月ほど経った頃、資金繰り表の作成を経理部長より引き継ぐことになりましたが、そこで重大な事実が知ることになりました。

 なんとこのままではあと数ヵ月で資金ショートするというのです。青天の霹靂ってこういうことを言うのでしょう。

 

 まず最初に浮かんだのは、“騙された!“という思いです。面接のときに副社長から説明された(バラ色の)事業計画でいくと、当期の損益はプラスマイナスゼロ。来期は1億円の黒字だったからです。

 しかし今なら分かります。自分が無知だったのだと。事業計画はあくまで計画でしかないのです。

 

 一般的に研究開発型のベンチャー企業の場合、研究で得たシードを事業化させるまでにはずっと赤字が続くものなので、増資などの際に株価を算定するときは、純資産額ではなく、事業計画で将来の収益性を見て決めることが多いです。

 ですので、とても極論を言ってしまえば、事業計画を合理的に説明さえできれば株価を高めることもできてしまいます。

 (ただし、これはまだバイオベンチャーというものにベンチャーキャピタルや投資家が不慣れだったこの頃の話です。現在はそれぞれ痛い目を見て経験値を上げてきているので、そう簡単にはいかないと思います。)

 特に当社はベンチャーキャピタルが関与していましたので、株価を下げさせない配慮が必要だったのでしょう。

 そんなわけで、事業計画がぴかぴかに光り輝く未来を描いていたわけです。未熟な私はそんなこと全然知りませんでした。

 

 前職を辞める際に上司が一席設けてくれましたが、その席で「転職先はベンチャー企業なので3年後には会社がなくなってるかも」と冗談めかして言ったりしてました。

 しかし3年後どころかたった数ヵ月で冗談が現実になりそうな状況になってしまいました。

 

 人材紹介会社を使って人を雇用すると、新しく雇用する人の理論年収の3割程度を報酬として人材紹介会社に支払うことになります。

 私よりひと月前に入社した総務部長も、私と同じ人材紹介会社を経由して入社していました。

 人材紹介会社に支払う二人分の紹介料は決して安くありません。例えば500万円の理論年収だったら、人材紹介会社に150万円程支払っているわけです。

 人材雇用にこれほどのお金をかける会社がそんなすぐに資金難になるなどとは、思うはずもありません。

 

 人材強化は確かに重要です。少数精鋭のベンチャー企業なら特にそうでしょう。ですが、この時点でその部分にそれほどのお金をかけている場合ではなかったのです。しかし、その後これには理由があることが分かりました。

 例の経理部長が、丁度資金ショートが起こるであろう時期に退職することになっていたのです。

 経理部長が担っていた管理部門全般の仕事にうち、総務的部分を私より一月先に入社したその総務部長が、経理的部分を私が担う、その為の採用活動だったのです。

 

 とにかく、数ヵ月後に資金ショートになるという資金繰り表なんて初めて目にしました。

 前回のブログ(経理という職種の人々)で書いたように、あの経理部長が一般的なキャッシュフロー計算書とは違う書式で作ったものなので、ちょっと分かりにくい資金繰り表でした。おそらく本人に一番分かりやすいように作ってあったのでしょう。

 どちらにせよ、数ヵ月後の月末現預金残高が赤いのです。そしてその先もずっと真っ赤でした。

 

 前職の業種は一般消費者相手のサービス業でしたので、売上高の回収は現金の場合が多く、たとえ赤字でも手元から現金預金がなくなることを想像したことはありませんでした。 

 しかし今回の職場では、回収サイトが長かったり、契約から業務完了までの期間が長い受注生産的な仕事が多かったりしたので、日銭の糧に乏しく、計画的に資金繰りを考えられる業態ではありませんでした。

 この会社がこうなってしまった原因は、バイオ系のベンチャー企業として誕生したこの会社の成り立ちに関係していました。

 その辺りを次回で軽く振り返ってみたいと思います。