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器用貧乏は赤魔道士になれ

極小ベンチャー企業のひとり管理部門担当者が、多岐に渡る日々の業務のことだったり全然関係ないことだったりを書くブログ

経理という職種の人々

 入社してしばらくはその企業独特の経理業務を理解することに励まなければなりません。

 経理の仕事というのは、各企業によって処理の仕方がかなり違っています。

 どの企業も企業会計原則などの基準に則っているので基本的な部分は同じですが、業種や企業規模が違ったりすると経理の仕事の内容も随分変わるのです。

 特に当社は研究開発型の会社なので、前職のサービス業とはまったくの別世界でした。

 当社を担当している監査法人もこういう業種の企業を監査するのは初めてだったらしく、“一緒に勉強しましょう”というスタンスでした。

 

 私が入社した当時の社員数は約20名程でした。そのうち管理部門の従業員は私を入れて4人。

 経理部長と、総務部長と、私と派遣社員の女性です。総務部長は私より1か月程早く入社したばかりの人でした。

 

 私の直属の上司となる経理部長は、ちょっと変わった人でした。

 今思えば、仕事に慣れるのが大変だったのはこの人が作成する資料の難解さも理由のひとつだったかもしれません。

 複雑な事柄をさらに複雑にして説明しているような資料が多かったので、とにかく解読するのがひと苦労だったのです。

 法律用語に馴染みがない相手に構わず法律用語で話して続けているようなもので、自分さえ理解できていれば、自分以外のものがどう解釈するかなど、あまり意識していないようでした。

 

 彼に物事を説明したり、質問したりするときも大変でした。

 何かを説明するとき、人にはそれぞれ話を進める順序というものがあると思います。先に結論から入る人や、最初から最後まで順を追って話す人もいるでしょう。

 説明される側も、その説明の間に短く質問を挟んだり、最後までとりあえず全部聞いてから頭の中で整理して相手に質問して確認したりと、人によって聞き方が違っていると思います。

 

 彼の場合、私が「○○の件で××なんですが」と話し始めると、「ちょっと待って」とすぐに遮るのです。とりあえず、ここでちょっとイラっとします。そして、

経理部長「まず△△はどうなってるの?」

私「△△の数字もおかしいですが、それはそもそも○○の数字が合ってないからなんです。で、○○が××なんで、◇◇を調べたんですが」

経理部長「ちょっと待って。それじゃあ☆☆は?」

私「いえ、そこはチェックしましたが問題ありませんでした。で、◇◇を調べたところ」

経理部長「ちょっと待って。じゃあ◇◇が■■ってことだよね」

 

 (違います。お願いですから最後まで話を聞いてください・・・)

 

 だいたいこのような感じで、説明する順序を相手に強いるのです。こちらは説明したいポイントまで話が進まないので、すごくストレスが溜まります。

 基本的に経験豊富で頭も良い方なのですが、知識を取り入れる袋の入り口が狭くて固いのかもしれません。

 

 ここからは完全に私の勝手な偏見になりますが、長年経理に従事してきた人の中には、微妙にコミュニケーションの取り辛い、少し変わっている人が多いような気がします。

(お前もな、というツッコミが聞こえてきそうですが)

 

 私は経理の仕事に就くまで、経理というのは黙々とただひたすら計算しているような、そんな寡黙な職業イメージがありました。いわゆる計算屋といわれるものです。

 実際のところ、前職で経理部門に応募してくる転職希望者を何十人も面接しましたが、他職種からキャリアチェンジを目指している方は、「ひとつのことをコツコツ根気よく取り組むことが得意です!」と自己PRする人が結構多かったように思います。

 

 しかし、“ひとつのことをコツコツ“ということは、言い換えれば、一度に複数のタスクには取り組めない、ということになります。

 また、他者を自分の頭の中から追い出して、ひとつの(作業的な)業務に没頭したい、という願望の裏返しでもあるのではないかと私は思っています。

 従来の計算屋的な経理の仕事では“ひとつのことをコツコツ“でよかったのでしょう。ですから、他者の意向を汲みながら動くという視点が少々欠けた経理パーソンが誕生しやすかったのかもしれません。

 

 しかし、現在は経理にも経営陣と同様に視野の広さが必要な時代となりました。それにはやはり社内の各部署とコミュニケーションは図って、様々な情報を自分で獲りにいかなければなりません。

 また、お金に関わりの無い部署というのはほとんどありませんので、その企業の会計ルールを各部署に納得して従ってもらわなければなりません。そういうことの説明や交渉も必要です。

 

 それから、事務職は基本的に複数の業務をこなせる人向きだと私は思っています。

 エクセルで資料を作成している最中にかかってきた電話に対応し、受話器を置いたら「ちょっと、ちょっと。」と上司に呼ばれて別の仕事の報告をし、席に戻ってやりかけだったエクセルの資料作成に取り組んでいたら、他に担当している業務のことで同僚に質問され……

 という具合にこちらの都合はお構いなしにどんどん仕事が降ってきます。“ひとつのことをコツコツ“していたらとても対応できません。

 実際に“ひとつのことをコツコツ“アピールをした人を採用したことがありましたが、本人は自信をなくして一月足らずで辞めてしまいました。

 

 これからの経理パーソンには、専門的な会計知識の他に、前述のようなコミュニケーション能力は必須だと思います。私は内向的で人付き合いがあまりうまい方ではないので、自分のコミュニケーション能力のなさを日々痛感しています。