器用貧乏は赤魔道士になれ

極小ベンチャー企業のひとり管理部門担当者が、多岐に渡る日々の業務のことだったり全然関係ないことだったりを書くブログ

ベンチャー企業って何?

 ベンチャー企業に経理担当者として入社して早7年。

 入社当初から従事することになっていた業務や、やることになるとは思わなかった業務をいろいろ経験してきました。

 国税庁のデータでは設立してから10年以上存続している会社は6.3%といわれる世の中で、私の勤める会社も様々な苦境を凌ぎ、今もどうにか生き残っています。

 といってもこれからまだまだ壁にぶち当たり続けるのでしょうが。

 

 まずベンチャー企業の定義って何でしょう。

 ググってみて驚きです。Wikipediaによると、”ベンチャービジネス”という言葉は和製英語なんです。英語ではstartupというそうです。

 ちなみにweblioで“venture”という単語を検索すると、「冒険的事業」とか「危険を冒す」などが出てきます。やっぱり冒険(アドベンチャー)なんだ。

 

 それまで私の持っていたベンチャー企業のイメージは、小規模で、かつ、設立から間もない企業で、なぜかガレージで起業して、今までにない革新的な技術やサービス、ビジネスモデルを市場に広めて社会に変化をもたらし、会社設立時のメンバーやファウンダーたちは大儲け、というビル・ゲイツスティーブ・ジョブズみたいなITベンチャー的なものでした。

 ところが、私が入社した会社はバイオ系のベンチャー企業で、技術の実用化に多額の資金が必要で、モノになるまでに長い時間がかかるという類のものでした。

 バイオベンチャーのように研究開発した技術を実用化して市場に普及しようとするベンチャー企業には「死の谷」などという物騒なネーミングの脱落ポイントがあります。

 バイオベンチャーの成功までには大まかに分けて「基礎研究」「応用研究・製品開発」「事業化」という3つのフェーズがあります。

 基礎研究は一般的に大学などのアカデミアの領域です。

 基礎研究で得た知見をウリに資金を募ってベンチャー企業が設立され、また、補助金や研究受託の請負等でも資金を獲得して応用研究や製品開発の段階に入ります。

 これがうまくいけば次の「事業化」に取り掛かるわけですが、このあたりで資金が尽きることがよくあります。これが「死の谷」です。

 

 なぜここで躓くかというと、あくまで私の見聞きした事から推察すると、「基礎研究」「応用研究・製品開発」までと、その後の「事業化」の段階では、使う脳みその部分が異なるというか、まるっきり違うモノの考え方をしなければならないようです。

 「事業化」とはつまり、製品の生産から流通まで一連の流れを造り上げ、売る方策を現実的に取っていくということです。ミクロな現象を見つめ続けてきた研究の視点とはまったく違うわけです。

 今でこそ技術経営(MOT)という言葉も知られてきましたが、現実問題として、マーケティングや資金調達、特許戦略、人材育成などという経営的なところまで理解している研究者や技術者はそう多くはありません。そのため、構築した技術をどうやって売るのかを「応用研究・製品開発」を考えるのと同じ頭で試行錯誤している間に資金が尽きてしまうのです。

(ですから事業化に備えて新しい人材を入れたりする必要があるのですが、これはこれで当社は大きな問題を抱えることになりました。これについてはいずれ考察してみたいと思います。)

 

 資金提供や協業をオファーしてくる企業が出てくれば死の谷を越えることができるのでしょうが、企業もそう簡単にリスクを取ってはくれませんので、事業化がリアルに想像できる事業計画を策定することが必要になってきます。

 これについても、研究者や技術者が感じる事業の将来性と、その分野に詳しくない人が感じる将来性にはかなり差があるというのが私の感じた印象です。

 特に事業化において最終顧客が一般消費者である場合、この差は結構問題になるのではないかと思います。

 

 私が入社した頃は丁度こういう死の谷に片足を突っ込んだ時期でしたので、当初から苦難の連続でした。大変な会社に入ってしまったな(騙された!)、と思ったものです。