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器用貧乏は赤魔道士になれ

極小ベンチャー企業のひとり管理部門担当者が、多岐に渡る日々の業務のことだったり全然関係ないことだったりを書くブログ

会計監査人・会計参与・監査役 何がどう違うの?

こんにちはこんばんは、器用貧乏のケイリです。

今回は名称が似ていて混同しがちな会計監査人と会計参与の違いを、監査役との関係性を絡めつつまとめてみたいと思います。

会計監査人と会計参与は、それぞれが企業の計算書類に関する信頼性の確保というとても重要な役割を持っています。

 

 

会計監査人

  • 役割

企業の計算書類等を監査し、会計監査報告を作成する外部の専門家です。

  • 資格

公認会計士監査法人が会計監査人の役目を務めます。それ以外の人が会計監査人になることはできません。

  • 設置義務

会計監査人の設置は、企業規模や機関設計に関係なく、どんな企業でも可能です。

ただし、大企業(資本金5億円以上または負債200億円以上)および委員会設置会社は必ず会計監査人を設置しなければなりません。

  • 選任・解任

選任や解任には、株主総会の普通決議が必要です。また、これは登記事項でもあります。

  • 任期

任期は1年で、取締役のように定款で任期を伸長することはできません。

ただし、任期満了となる定時示株主総会で特に何の決議もされなければ、再任したものとみなされます。

  • 賠償責任

会計監査人には、取締役等と同様に、会社に対して、その任務を怠った場合に生じた損害を賠償する責任があります。

また第三者に対しても、悪意または重大な過失があった場合に生じた損害を賠償しなければなりません。

 

 

会計参与

  • 役割

会計参与の仕事は、会社の一員として、その会社の取締役と共同で、適正な計算書類等を作成することです。

会計監査人が外部から計算書類等を監査するに対して、会計参与は会社内部から計算書類等の作成に関わります。

  • 資格

会計参与になるには、公認会計士監査法人、税理士、税理士法人のいずれかである必要があります。

ただし、会社または子会社の取締役、執行役、監査役、会計監査人などが会計参与を兼任することはできません。

  • 設置義務

会計参与は、機関設計に関係なく、どんな企業でも設置することができます。

ただし非公開会社の取締役会設置会社監査役を置かない場合は、必ず会計参与を設置しなければいけません。

  • 役員

会計参与は役員となります。

なお、反対に会計監査人は社外から計算書類の信頼性を担保するという役割のため、役員にはなれません。

  • 選任・解任

選任や解任には、株主総会の普通決議が必要です。また、役員と同様に登記が必要です。

  • 任期

任期は2年ですが、非公開会社では、取締役と同様に、定款で任期を10年まで伸長することができます。しかし、指名委員会等設置会社の場合は、任期が1年となります。

  • 賠償責任

会計参与が任務を怠ったことにより会社に損害を与えた場合は、賠償責任を負わなければならず、株主代表訴訟の対象にもなります。

 

 

監査役

  • 役割

監査役の仕事は、取締役の業務および計算書類の監査です。

ただし、非公開会社の取締役会設置会社では、その業務を会計監査に限るとした定めを置くことができます。

  • 資格

誰にでもなることができます。

  • 設置義務

監査役の設置義務という論点のうち、会計監査人や会計参与に関連するポイントだけに絞って書きます。

1.会計監査人設置会社

会計監査人を設置する場合は、委員会設置会社を除いて、監査役を置かなければなりません。なぜなら、監査役には会計監査人の選任・解任について同意権が与えられているからです。

ちなみに、”委員会設置会社を除いて”とあるのはなぜかというと、委員会設置会社には監査役を置くことができないからです。

2.取締役会設置会社

取締役会設置会社では、監査役を置かなければいけません。しかし、非公開会社の取締役会設置会社では、監査役を会計監査に限るとした定めを置くことが可能です。

なお、前述しましたが、非公開会社の取締役会設置会社監査役を置かない場合は、必ず会計参与を設置しなければいけません。

つまり、非公開会社の取締役会設置会社では、「取締役会+会計監査に限定された監査役」もしくは「取締役会+会計参与」のどちらかの組み合わせであればよい、ということです。

  • 役員

監査役は役員となります。

  • 選任・解任

選任や解任には、株主総会の普通決議が必要です。また、役員と同様に、登記が必要です。

  • 任期

任期は4年ですが、非公開会社は定款で任期を10年まで伸長することができます。

  • 賠償責任

監査役が任務を怠ったことにより会社に損害を与えた場合は、賠償責任を負わなければならず、株主代表訴訟の対象にもなります。

 

 

以上、会計監査人、会計参与、監査役の簡単な論点整理でした。

 

会計参与制度の法的検討

会計参与制度の法的検討

 

 

やっぱり絵が面白くなきゃね ~映画『バクマン。』

映像が面白い。

 

映画の冒頭から週刊少年ジャンプの歴史と出版界での、いや、ジャンプに触れたことのあるすべての人の記憶を辿るように、歴代のジャンプを飾ってきた様々な漫画の絵が画面を飛び交っていきます。

短い秒数の中ではあるけれども、1968年創刊からのジャンプの歴史をなぞっていくので、誰でも「ああ、あれ知ってる」という漫画を思い起こすことができるでしょう。

この冒頭で観客はぐっとバクマンの世界に引き込まれていくのです。

わたしなんて、あの作品もこの作品もジャンプだったんだなーと、ジャンプという漫画雑誌の偉大さを実感しました。

 

手塚賞に出す作品を描くシーンでは、彼らの背景が、彼らが今まさに描いている漫画の絵に置き換わります。ドンドン作品が描き上げられていく様が視覚的に分かりやすく、かつダイナミックに表現されていきます。

単に彼らが漫画を描いているのを見せるのは映像的に地味だから、こういう演出はすごくリズミカルで楽しい。

 

編集部の役割などの説明のシーンでは、映像に漫画のような吹き出しがポコポコついていきます。漫画が題材の映画なので、作品の雰囲気に合ってるし、とにかく編集室はすごくごちゃごちゃしているので、吹き出しで配置が説明されるととても分かりやすいです。

 

シュージンが連載を目指すための新しい漫画のネタを体育館で思いつくシーンでは、シュージンの眼鏡に思いついたネームがうっすらと映し出されています。

ただ思いついた演技だけでなく、絵に仕掛けを作ることによって、これまた分かりやすくなっている。しかも眼鏡に映し出される絵がシュージンの書いたネームなので、すごく絵が雑いです。こういうところが細かくて好き。

 

で、新マンガ「この世は金と智恵」を描くシーンでは、今まさに描いているコマがふわふわ浮いたり、スライドしたかと思えばプロジェクションマッピングで壁にするすると立ち上ったり、床を流れて行ったり。その間の机の上で描かれている絵が躍動的に動いたりしていて、創作意欲の高まりがちゃんと理解できる映像になっています。絵がとても躍動感のある音楽のようで、すごく巧い表現だな、と感心しました。

 

エイジとの人気投票での1位競争をあんなバトルシーンで表現するなんて狡いですよ。ベタだけど絶対面白いですもん。ちゃんと観ているこちら側の画面にも飛び散った墨がついてるんです。そうそう。墨だけじゃなく、スクリーントーンや擬音語も飛び交ってます。細かい。

こういう漫画ならではの表現にこだわったところも、漫画好きな視聴者からの好感を得られるきっかけになっていると思います。

 

あとエンドロールね。エンドロールで笑ったの初めてかもしれません。聖闘士美術、ヒカルの照明、珍記録、キャスティング翼、ハレンチ塗装。ツッコミがいくつあっても足りないです。漫画の背表紙でクレジットするなんて、とても粋です。 うん、ちゃんとデスノートもありましたね。

 

ストーリーは、まあ、友情・努力・勝利というジャンプの王道ですし、2時間という限られた時間での表現ですから、そこ端折っちゃうんだ、と思うところもありますし、その結果若干ご都合主義に感じられたりもするのですが、絵が面白いのでまあいいや、と思える範囲です。

 

やっぱり映像を観るのが楽しいという感覚は重要ですね。

バクマン。Blu-ray 通常版

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プレスリリースあるある話

こんにちはこんばんは、器用貧乏のケイリです。

今回はプレスリリースに関する小ネタです。

 

わが会社は過去に何度が開発した技術やサービスに関してプレスリリースをしたことがあります。

ただプレスリリースしただけでは何も起こりませんが、新聞や雑誌に取り上げられると、多少なりとも人の目に留まる機会が増えます。

わが社がプレスリリースした際に起こった出来事を思い起こして書いてみました。

なお、うちは医療系のベンチャー企業ですので、この業界ならではの反応もあったかと思います。

 

消費者からの問い合わせ

前述したように、うちは医療系のベンチャー企業なので、この業界の慣習のようなものをご存知ない方には発表内容が分かりにくい場合があります。

以下はそういう特殊な事情だからこそ起こる事かもしれません。

 

わが社はちっぽけな会社ですので、広報担当などという立派な窓口はいません。

ですので、メールで問い合わせしてきてくれるのならいいのですが、電話で問い合わせして来られる方がいるとちょっと慌てます。しかも、プレスリリースしてからかなりたった頃に電話で問い合わせてくる方も結構います。

といいますか、医療系のニュースは高齢者の関心を引きやすく、メールより電話での問い合わせの方が多いです。

しかも、媒体に掲載されるのはプレスリリースした内容の一部だったりしますので、問い合わせをいただく方がプレス内容をかなり曲解されている場合もあります。

BtoB事業なのに、自分はいつから利用できるのかと問い合わせがあったりとか、まあそんな感じです。

 

たとえば、「●●大学が■■ということを発見した。●●大学はこれを△△の治療に活かせると考えており、実用化に向けて研究を進める」というような発表が新聞に載ったとします。

実際のところ、実用化や事業化への道のりは大変険しいものです。

生化学的にある有意義な現象を発見したとしても、それを実用化するには、まずその技術を反復・継続的に使えるものにしなくてはなりません。

さらに事業化させるには採算が取れなければなりませんが、材料の仕入れからサービス提供、アフターフォローまでの一連の繋がりにおいて、どこに暗礁に乗り上げる要因が隠れているかわかりませんから、結局事業化できない場合も往々にしてあります。

しかし、そういう事情をご存知ない方は、すぐに自分がその技術を利用できるようになるのではないかと期待されます。

 

STAP細胞の騒動で、あれが実は科学的に証明できるものでないと判明したとき、病を持つ人たちの希望を摘み取った、というような批判がありました。

ですが、たとえSTAP細胞が本当に存在していたとしても、実用化できなかった可能性は当然あったと思います。

技術を安定させて経済的な対価で提供できるようにするには、とにかく大変なのです。

だから挑戦のし甲斐があるとも言えるのですが。

 

話がちょっと反れました。

つまり、一般消費者向けでないプレスリリース内容であっても、関係なく電凸してくる方がいます、ということです。

注目して下さるのは嬉しいんですが。

ただ、私もこういう業界に勤めていなければ、プレスリリースの内容に関して一般の方と似たような認識だったんだろうなと思います。

 

ここまで書いていてふとオルテガの『大衆の反逆』を思い出しました。

大衆の反逆 (ちくま学芸文庫)

大衆の反逆 (ちくま学芸文庫)

 

かなり前に読んだ本なので記憶が曖昧ですが、たしか、科学技術を大衆が消費する、消費して当然だと大衆が思うようになった、という記述があったような気がします。

「権利」に関しても同様に、大衆が権利を持つことそのものを誇りに思った時代から、当然のようにその権利を行使する時代に変わった、と。

 

電凸についてだけ書こうと思ったのですが、それ以外のプレスリリースの反応についても少し触れておきます。

 

セールス

いろんなところからセールスの電話がかかってきたり、飛び込みの営業が来たりします。

セールスの枕詞が「業績がよろしいようで~~」なのがちょっとイラっとします。

うち儲かってませんけどなにか。

セールスの種類はいろいろですが、人材紹介会社だったり、福利厚生を提供する会社だったりと、管理業務系のセールスが多かったような気がします。

 

取材させて下さい その1

経営者のインタビュー載せます。

今活躍中のベンチャー企業を紹介するわが社のサイトに掲載します。

ただし掲載料をお支払い頂きます。

という類いのものが何社からか連絡がありました。

単なる企業広告のセールスなわけですが、本当に「取材させて下さい」って言い方で来るんです。まぎらわしい。

 

取材させて下さい その2

業界誌とか、経済誌、地方新聞などからの取材申し込みや、プレスリリースの転載の依頼など、一番欲しいリアクションです。

そしてこれらに掲載されると消費者から突然電話がかかってきます。

そしてセールスが舞い込みます。

うん、嬉しいんですけどね。ちっぽけな会社だとその後の対応にはやはり不慣れです。

プレスリリースした後の対応を任せられるサービスとかないですかね。

 

 

以上、プレスリリースにまつわるお話でした。

メディアを動かすプレスリリースはこうつくる! (DO BOOKS)

メディアを動かすプレスリリースはこうつくる! (DO BOOKS)

 

会社設立費用で節税しよう!

こんにちはこんばんは、器用貧乏のケイリです。

今回は、あまり経験することのない豆知識的な論点、創立費と開業費です。

創立費と開業費は会社設立時にしか発生しない種類の経費ですので、経理担当者でも取り扱ったことがない人が多いと思います。

せいぜい簿記の試験に出たなーというくらいのものなので、詳しく知らなくても困るものではありません。

ただし、これから会社を作ろう!という気概のある人は、知っておいて損はありません。節税対策になりますので。

 

 

創立費とは

会社を設立するまでには、さまざまな支出が発生します。

この会社を設立するまでにかかる費用のことを「創立費」といいます。

具体的には、以下のようなものがあります。

  • 定款など会社の設立登記に必要な書類を成するための費用
  • 創立総会にかかる費用
  • 発起人への報酬
  • 設立登記に必要な登録免許税
  • 株式募集のための広告費
  • 証券会社などの金融機関の取扱手数料
  • 創立事務所の賃貸料

 

 

開業費とは

会社が法的に設立されたからといって、通常の事業活動を行うまでには、会社のホームページを作ったり、ビジネスモデルを構築するために市場調査をしたりなど、さらなる準備が必要です。

この、会社設立後から事業を開始するまでにかかる特別な支出のことを、開業費といいます。

具体的には、以下のようなものがあります。

  • 新しい名刺の作成費用
  • 打ち合わせにかかった費用(飲食代や会議室レンタル代)
  • パンプレットなどの作成費用
  • ホームページの開設にかかった費用
  • 市場調査費用

 

実は開業費には、広義の開業費と狭義の開業費があり、上記に示したものは狭義の開業費に当たります。

税務における開業費とはこの狭義の開業費のことであり、この後に述べる費用処理の仕方が認められるのはこちらの開業費だけです。

 

広義の開業費には、会社設立から事業開始までに発生した以下のような費用があります。

  • 事務用品などの消耗品代
  • 事務所などの賃貸料
  • 通信費
  • 水道光熱費
  • 保険料

これらは営業開始後も恒常的に発生する費用であるため、「会社設立後から事業を開始するまでにかかる特別な支出」すなわち狭義の開業費には該当しません。

ですので、帳簿上に「開発費」と記すことはできますが、税務上は「開業費」として扱うことはできません。

 

 

繰延資産とは

会計上の資産には、流動資産、固定資産、繰延資産という分類があります。

そして、創立費と開業費は繰延資産の一種です。

繰延資産というのは、支出した費用のうち、その費用の効果が1年以上継続するものをいい、以下の5つに限定されています。

  • 創立費
  • 開業費
  • 開発費
  • 株式交付費
  • 社債発行費

本来なら費用として計上するものでも、これらに該当する支出をしたときは、繰延資産として計上し、費用とはなりません。

そして然るべき時に償却(繰延資産を減額し、同額を費用計上)します。

 

 

創立費・開業費の償却方法

認められている償却方法は、二通りあります。

 

5年間の均等償却

会計上は、繰延資産として計上してから5年以内に一定額を償却することとされています。

たとえば、会社設立費用を 40万円支払い、繰延資産計上していた場合、40万円÷5年=8万円を毎期繰延資産から減額して同額を費用計上します。

 

任意償却

税務上は、いつでもいくらでも(資産計上した額以下であれば)償却してもいいこととされています。

たとえば、前述の例でいえば、3年後に20万円、4年後に15万円、6年後に5万円を償却する、ということも可能です。

利益が計上されるとその分法人税の納税額が増えますので、利益額を圧縮するために必要な額だけをその年に償却して費用計上することができるのです。

 

たとえ事業が順調に成長したとしても、会社は設立してからしばらくは赤字であることがほとんどです。

その赤字であるときに償却して費用計上するのではなく、黒字になって法人税の納税額が発生したときにうまくこの任意償却を活用しましょう。

 

 

 

ダンゼン得する 知りたいことがパッとわかる 会社設立のしかたがわかる本

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消費税制度におけるインボイス方式とは?

こんにちはこんばんは、器用貧乏のケイリです。

 

今年の6月、政府は消費税率の10%への引上げを、当初の平成29年4月から、平成31年10月に2年半延期することを発表しました。

この消費税率引上げの際に、食料品等の税率を8%のままに据え置く「軽減税率」を適用するはずでしたが、それも延期となりました。

しかし、複数の税率が存在する状況に対応するためのインボイス方式の導入については、準備期間が十分にあるとして、平成33年4月から予定通り適用されることとなりました。

 

今日はこの「インボイス方式」について勉強したいと思います。

 

 

インボイスとは?

インボイス(invoice)」とは元々は貿易業務の用語で、納品書、送り状および請求書の役割のある、通関手続きに必要な重要書類のことをいいます。

売主から買主に発行される書類で、商品名、数量、価格、代金の支払方法、運賃、保険などの事項が記載されています。

しかし、ここでの消費税制における「インボイス」とは、適用税率や税額、課税事業者の登録番号など、税法に定められた事項が記載された書類のことを指しています。

 

 

消費税の納税額の計算方法

インボイス方式の説明に入る前に、まず必要な前提知識として、消費税の納税額はどのように計算するのかを簡単におさらいします。

 

企業が当期において税抜価額で1億円の売上を計上したとします。

現在の消費税率が8%なので、顧客から受け取った消費税(これをAとします)は1億円×8%=800万円です。

 

一方、企業が当期において税抜価額で6000万円の経費を計上したとします。

ちなみに、この6000万円の経費はすべて消費税の課税対象となる種類の経費と仮定します。(消費税の課税対象とならない種類の経費もありますので)

経費を負担した際に支払った消費税(これをBとします)は6000万円×8%=480万円です。

 

この企業が納税する消費税の額は、800万円(A)-480万円(B)=320万円です。

つまり、顧客から受け取った消費税から、企業自身が支払った消費税を控除した額が、その企業の消費税納税額となります。

実際はもっと複雑な計算や例外規定がありますが、税務担当者でなければ、一般知識としてこの程度が理解できていれば十分だと思います。

 

インボイス方式というのは、この企業自身が支払った消費税額(B)に関わるお話しなのです。

 

 

現在は「インボイス方式」ではなく「請求書等保存方式」

{A-B=消費税納税額}なので、Bが少なければ消費税納税額が多くなるのはお分かりいただけると思います。

そして税法では、Bとして取り扱っていい経費支払として、以下の事項を記載した帳簿および請求書等を保存しておかなければならない、という条件をクリアしている必要があります。(これを「請求書等保存方式」といいます)

1.仕入先の氏名または名称

2.仕入年月日

3.仕入れた物品もしくはサービスの内容

4.支払対価の額

5.請求書等の交付を受けた者の氏名または名称

 

つまり、請求書等保存方式に則った経費支払でなければBとは認められず、その分消費税納税額が増えるというわけです。

 

 

インボイス方式」とは?

インボイス方式は、正しくは「適格請求書等保存方式」といいます。

インボイス方式では、Bとして取り扱っていい経費支払として、請求書等保存方式で求められている上記1.~5.の記載事項に加えて、さらに次の事項を記載した請求書等を保存しておかなければならないこととされます。

6.軽減税率の対象品目であること

7.税率ごとに合計した対価の額

8.発行事業者の登録番号

9.消費税額

 

まあ、単純な話、記載事項が増えれば事務負担も増えますし、ITシステムへの投資なども余儀なくされます。

 

 

免税事業者の益税問題

ここで話の趣旨は変わりますが、このインボイス方式導入の際によく話に持ち上がるのが、免税事業者の益税に関する問題ですので、軽く説明しておきます。

免税事業者というのは、消費税の納税義務がない事業者のことで、年間売上高が小さい小規模事業者や、設立から間もない事業者など、ある一定の要件を満たす事業者がこれに該当します。

 

益税とは

免税事業者が商品を販売する際にはその販売価格に消費税分を上乗せしてはいけない、と思われている方をいるようですが、それは誤解です。

あくまでもA-Bで計算した消費税納税額を納める義務がないだけであって、顧客から消費税額を含めた売上額を受け取っていないわけではありません。

さらに言うなら、消費税が課されるかどうかは商品やサービスの内容等によって税法で定められているので、免税事業者かどうかは消費税の課税の有無には関係ないのです。

 

具体的な数字で説明すると。

顧客から受け取った消費税Aが60万円、経費を負担した際に支払った消費税Bが48万円だった場合、A-B=12万円が本来の消費税納税額です。

しかし、免税事業者にはこれを納める必要がなく、自分の懐に入れられるため、「益税」と表現されているのです。

 

益税問題の軽減

で、この益税問題とインボイス方式がどう関係するのかというと。

上記のインボイス方式の請求書等の記載事項に、「8.発行事業者の登録番号」があります。

インボイス方式が導入された場合、課税事業者でないとこの登録番号が付されないこととなりますので、免税事業者は請求書等に登録番号を記載することができません。

顧客側は免税事業者から商品を購入したとしても、それに対して発行される請求書等には発行事業体の登録番号が記載されていません。

そのため、経費を負担した際に支払った消費税Bとして取り扱うことができず、その分納税額が多くなってしまうのです。

 

だったら顧客側は免税事業者よりも課税事業者から商品を購入しますよね。結果的に免税事業者の業績が悪くなってしまう可能性があります。

それを避けるには、たとえ免税事業者となれる要件を満たしていたとしても、益税というメリットを捨てて課税事業者となって発行事業者の登録番号を得る必要があります。

このいうわけで、益税問題とインボイス方式は関連付けて議論されることが多いのです。

 

そもそも免税事業者制度は、初めて消費税が導入されたときの、小規模事業者への配慮的特例措置のようなものだと思いますので、それがいまだに残っているというのがおかしな話ではあるのですが。

 

 

インボイス方式の導入に関しては、本格導入までの経過措置など他にいくつか細かい論点はありますが、今回はこのへんで。

 

 

ゴジラにも特撮にもエヴァにも興味はないけど傑作でした! ~映画『シン・ゴジラ』

こんにちはこんばんは、器用貧乏のケイリです。

この前の週末に映画『シン・ゴジラ』を見に行ってきましたので、感想を書き留めておきたいと思います。

shin-godzilla.jp

 

タイトルにも書きましたが、私はゴジラにも特撮にもエヴァにも思い入れはありません。

日本製ゴジラの記憶といえば、子供の頃に見た、子ゴジラが火を吹く練習をしていてなかなかうまくできず、親ゴジラが子ゴジラの尾を踏むと子ゴジラが盛大に火を吐く、という可愛らしい映像くらい。

ハリウッド版ゴジラは1998年の作品しか見てませんが、ゴジラが怪獣というよりは恐竜みたいで、あまり好きにはなれませんでした。やっぱりゴジラって着ぐるみ感が大事。

特撮モノも、子供の頃に見たウルトラマン帰ってきたウルトラマンウルトラセブンウルトラマンタロウウルトラマンレオあたりまでの記憶しかないです。

エヴァは評判になったのでテレビシリーズは見ましたけど、まったくハマれなかったので、映画には一切手を出しておりません。もうどういうストーリーだったかも覚えてないくらいです。

 

で、映画『シン・ゴジラ』ですが。

 

めっちゃおもしろかったです!!

 

映画のパンフレットを何年かぶりに買いましたよ。

良かったよー!ていうことを誰かに言いたくなる映画は『マッドマックス 怒りのデス・ロード』以来です。

印象に残っているポイントを並べ立てていきますが、これからこの映画を見る!という方はこの先は読まないでください。前知識がない方が絶対に楽しめる作品ですので。

これからこの映画を見る!という方はこの先は読まないでください。

これからこの映画を見る!という方はこの先は読まないでください。

これからこの映画を見る!という方はこの先は読まないでください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いいですね? 大丈夫ですね?

では。

 

海上に漂う無人のボート

後で思い返してみると、『機動警察パトレイバー the Movie』の冒頭みたいだなーと思って。パトレイバーの映画では、事件を起こす首謀者が、すべての企みを仕掛け終えた後にその結果を見ずに映画の冒頭で自殺してしまうんです。

このボートの持ち主は何かを企んでいたわけではないですが、ゴジラの謎を知っていて手掛かりを残す人物ですので、事態の収拾にあたる人たちがその謎を解き明かす、という展開は似ているなと思いました。

 

進化するゴジラ

ゴジラが川を上ってくるシーンで、あれ、ゴジラってこんなんだっけ?て思いました。

ずっと水中に潜ったままで全容が分からない。ただひたすら船やら車やら瓦礫やらを巻き込んで川をずんずん上っていく。

そして上陸。両生類的な巨大生物がズルズル這いずってる。なにこれキモい。体もキモいけど特に目がキモい。

やっと二足歩行になったと思ったら、前足がやたら小さい。なんでだろう。何も捕捉する必要がないから?

とにかく、形態が進化するなんて聞いてませんよ状態で驚かされました。背中からも光線が放出されたときはぞっとしたと同時に、こんなんどうやって勝つの?と絶望感を味わわされました。

 

早口で飛び交う専門用語と会議シーン

官僚独特の難しい言葉は大して理解できなくてもおおよそ話の筋は追えるようになっているので、問題ないと思います。

言うなれば、会議室や廊下で早口で喋りまくるあのシーンは映画のテンポを緩ませないための舞台装置みたいなものかと。まあ、ちゃんと理解できてたらなお面白いのでしょうが。

でもあのシーン、好きなんですよね。今までない事態に対処するのに立法から始めたり、あちこちに話を通さなきゃいけなかったりして時間がかかり過ぎる。でもこの体制は独裁を防ぐというメリットもある。だからみんな時間がかかるのは仕方ないこととして愚痴りながらも自分たちのできることをやっていく。法治国家として清濁併せ飲む覚悟みたいなものが垣間見える気がするんです。

 

自衛隊のリアルな存在感

わたしは今まであまり邦画はたくさん見てこなかったんですが、戦争映画ではなく、現代劇で自衛隊の軍備を模したものがここまで多く登場する映画って他にもあるんですかね?

どこぞの団体が”自衛隊讃美だー!”とか騒ぎそうだなーと思いながら見てましたが、よく考えたら国内で自国民を守ってるだけなんですけどね。

でもそういう批判でさえも怖れて描写が中途半端になる場合もあり得るのに、この映画の中での陸・海・空の自衛隊のリアリティを見るだけでも、製作陣の本気度が伝わってきます。

 

みんな大好き、無人在来線爆弾!!

このシーンでたぎらなかった人とはたぶんお友達にはなれないと思います。

新幹線爆弾のシーンでまず、おおっ!!となり、一斉にゴジラに突っ込む無人在来線爆弾たちに興奮と笑いが禁じ得ませんでした。これを思いついた人に何か賞を差し上げたい。嫌な事があってもあのシーンを思い出したら乗り切れそうな気がします。

日本人から見て、(新幹線を含め)電車って日本を象徴するアイコンのひとつだと思うんです。製造業のいろんなテクノロジーが詰まってるし、ダイヤに合わせて正確に運行するというのも日本人気質を表していますし。

それがゴジラに突っ込むっていうのがね、一矢報いたぞ!という気持ちにさせてくれます。

それに続き、周辺の高層ビルで押し倒してはたらくくるまでお薬注入というシュールな絵が最高に馬鹿げてて好きです。

 

市川実日子がマジヒロイン

変人の集まりが世界を救う的な設定は映画やアニメでもよくありますが、『シン・ゴジラ』では巨災対(巨大不明生物特設災害対策本部)メンバーがその役割を担います。

まず巨災対メンバーがみんなオタクで偏屈な感じがサイコーなんですが、この映画のヒロインは間違いなく市川実日子演じる尾頭ヒロミちゃんですよ。

作中ずっと難しい顔をしているのに、最後にほっとした笑顔を見せてくれて、こちらもほっとなりました。

 

2人の総理大臣

1人目の総理大臣、大河内総理は、想定外の事態の中で最初はふわふわ頼りないけど、どんどん頼もしくなっていきます。

逃げ遅れた市民がいたときの「国民に武器は向けられない」からの攻撃中止命令は、すごく重くて厳しい決断で格好良かったです。

2人目の総理大臣(臨時代理)、里見総理はトコロテン方式で総理大臣になっちゃった人なので、”わー、この人大丈夫かー?(不安)”て感じなんですが、「好きにしたらいかがですか?」という提言を受けてからの飄々とした反応が好きです。

最後の時間稼ぎの仕方も実にニッポン的。決して切れ者ではないから、ウルトラC的でない分相応なやり方で事態に対処するところがいいです。

 

あの頃日本に思いを馳せた人たちが共有する記憶

この映画を見た人なら誰もが思い起こしたであろう、3.11の記憶。

無慈悲なまでに巨大な津波に襲われ、原発メルトダウンの可能性に慄き、東日本はどうなってしまうのだろうかと、固唾を飲んで見守っていたあの日々のあの想いを、当時日本の行く末を案じたすべての人たちが共有し合っただろうと思います。

この共通の経験を持っているのと持っていないのとでは、きっとこの映画の感じ方は違うものになるはずです。

 

現実(ニッポン)VS虚構(ゴジラ

ものすごく巧いキャッチコピーだと思います。ここまで作品を的確に表したコピーはそうありません。

ゴジラという虚構が、行政や軍事、外交という現実的な問題をわたしたちの前に突きつけて、揺さぶりをかけてきます。

怪獣映画と見せかけて、実はポリティカルなシミュレーション・ムービーだったなんて、ひねりも大概にしてください。

 

 

まだまだ書きたいことはありますが、長くなるのでこのへんで。

ただ気になるのが、 3.11に感慨がない海外の人はどう見るのだろう、ということです。

先にも書いたとおり、あの震災の記憶があるのとないのとでは作品の感じ方がかなり違うような気がするので。

まあ、批判を恐れずにあえて言うならば、『シン・ゴジラ』はやはり日本人のためのゴジラ映画だな、というところですかね。

「タックス・ヘイブン」はトロピカルな島ばかりじゃないよ

こんにちはこんばんは、器用貧乏のケイリです。

 

今年の春、リークされた”パナマ文書”によって、タックス・ヘイブン問題が世間的に注目を集めました。

ですが、タックス・ヘイブンなるものは庶民の生活には直接関係してきませんので、何のことやら分かりません。

しかし、回り回ってわたしたちの税負担に影響を及ぼす問題ですので、「俺らパンピーからじゃなく金持ちからもっと税金取れやー!」という主張に結びつき、どこかの国のお偉いさんまで辞任する事態となりました。

 

ただ、今になってもやはり「タックス・ヘイブン」がどういうものか、ぼんやりとしたイメージしか湧いてきません。

タックス・ヘイブンの場所ってパナマケイマン諸島みたいなトロピカルな島ばかり?

映画じゃスイスに秘密口座があるとかよく言われてるけど?

実際にタックス・ヘイブンって何なんでしょうか。

 

タックス・ヘイブン?逃げていく税金 (岩波新書)

タックス・ヘイブン?逃げていく税金 (岩波新書)

 

 

というわけで、今回勉強させてもらったのはこちらの本です。

この本には、「タックス・ヘイブンとは何ぞや」だけの留まらず、タックス・ヘイブンが税制に与える影響や、過去に起こったタックス・ヘイブンにまつわる事件など、これ1冊でタックス・ヘイブンについて十分に学べる内容となっております。

といっても、この本の充実した内容全部を取り上げるわけにはいかないので、今回は「タックス・ヘイブン」とは何か(どこか)、という初歩的なことだけに焦点を当てたいと思います。

 

 

タックス・ヘイブン」の言葉の意義

ウィキペディアでは、タックス・ヘイブンは以下のように説明されています。

タックス・ヘイブンとは、一定の課税が著しく軽減、ないしは完全に免除される国や地域のことである。低課税地域、租税回避地とも呼ばれる。

 

また、『タックス・ヘイブン──逃げていく税金』では、

タックス・ヘイブンとは一般に、「税金がない国や地域」、あるいは「税金がほとんどない国や地域」をさす。

タックス・ヘイブンの多くの場合、国だけでなく、旧植民地や英王室の属領のような地域も含む。

と述べられています。

つまり、国というくくりだけでなく、地域というくくり方で認識されているところもあるわけです。

 

 

タックス・ヘイブン」なのはどこ?

タックス・ヘイブン──逃げていく税金』では、タックス・ヘイブンとして有名ないくつかの地域や国が挙げられています。

1.カリブ海にある島のグループ

 ケイマン諸島バハマ、ブリティッシュ・バージン・アイランド(BVI)など

2.ブリテン島近辺のグループ

 ジャージー、ガーンジー、マン島の王室属領

3.アジア

 香港、シンガポール、マレーシアのラブアン島など

4.先進国内の一地域

 ロンドンのシティ(ロンドン市内の一区画)、アメリカのデラウェア州など

5.国

 スイス、ルクセンブルク、ベルギー、オーストリアなど

なお、 1.2.3.はだいたい英国がらみの地域だそうです。

とにかくタックス・ヘイブンは世界中に存在するので、たとえパナマ文書が明らかになったとしても、それはタックス・ヘイブンに関わる事象のほんの一片でしかありません。

 

 

タックス・ヘイブン」の判断基準

どの国・地域がタックス・ヘイブンに該当するかの判断基準は、国際的に定まっているわけではありません。

 

OECD経済協力開発機構)租税委員会は、1998年に「有害な税の競争」報告書を公表していますが、その中で挙げられたタックス・ヘイブンの判断基準は以下の4つでした。

  1. まったく税を課さないか、名目的な税を課すのみであること
  2. 情報交換を妨害する法制があること
  3. 透明性が欠如していること
  4. 企業などの実質的な活動が行われていることを要求しないこと

 

なお、租税委員会はこの報告書につづき、2000年にプログレス・レポートというものを公表しました。

このレポートには上記の4つの基準にもとづいて、35の国と地域がタックス・ヘイブンとしてリストアップされました。

ただし、『タックス・ヘイブン──逃げていく税金』いわく、

35のリストの中には、バミューダ、ケイマン、キプロス、マルタ、モーリシャス、サン・マリノが入っていないなど、不可解な点もある。

とのことです。

 

また、2009年4月、タックス・ヘイブン退治にあたり、租税関係のグローバル・フォーラムは、「国際的に合意された税の基準の実施についてOECDグローバル・フォーラムにより調査された国・地域に関する進捗報告書」を公表しました。

この報告書では、以下の分類で国・地域がリストアップされています。

1.国際的に合意された税の基準を実施している国・地域(40箇所)

2.国際的に合意された税の基準にコミットしているが、実施が不十分な国・地域

 a.タックス・ヘイブン(30箇所)

 b.その他の金融センター(8箇所)

3.国際的に合意された税の基準にコミットしていない国・地域

 コスタリカ、フィリピン、ラブアン島ウルグアイ

 

ただし、グローバル・フォーラムが定めたタックス・ヘイブンの判断基準は、プログレス・レポートとは違っています。

プログレス・レポートでのタックス・ヘイブンの判断基準は前述のとおり

  1. まったく税を課さないか、名目的な税を課すのみであること
  2. 情報交換を妨害する法制があること
  3. 透明性が欠如していること
  4. 企業などの実質的な活動が行われていることを要求しないこと

でしたが、グローバル・フォーラムの報告書では 2.と 3.のみとなっており、税負担が低いかどうかは判断基準とはされていません。

 

また一方で、グローバル・フォーラムのリストの2.b.のように、先進国の金融センターに関わるタックス・ヘイブンの問題が認識されていることが分かります。

タックス・ヘイブン──逃げていく税金』では、

タックス・ヘイブンの全容は、先進国の金融センターも含めた多重構造を全体として眺めることによって初めて理解できるのである。

としています。

 

 

と、まあ、「タックス・ヘイブン」ってどこ?っていうことだけに軽く注目して書きました。

これ以上書くにはわたしの脳みそが足りませんので、ここまでにしておきます。

しかし、『タックス・ヘイブン──逃げていく税金』によると、タックス・ヘイブンの本質的な問題は、

1.高額所得者や大企業による脱税・租税回避

2.マネー・ロンダリング、テロ資金への関与

3.巨額投棄マネーによる世界経済の大規模な破壊

にありますので、そのあたりも詳しく解説されているこの本は、タックス・ヘイブンの問題を知るにはよい1冊だと思います。